第15話 同士?発見

レーナは元々名誉ある伯爵家の生まれだった。


だが、ある日小説内でルイに嵌められ家は没落してしまう。


一個上のレーナに一目惚れした小説内でのルイは、自分の物になるよう言うがこっぴどく振られる。

怒ったルイは付け込まれ、レーナの家に不満を持つ他の貴族に唆されて伯爵家を没落させた。


色々あって奴隷となったレーナはルイによって買われる。性的目的でルイは詰め寄るがレーナはそれを拒み、怒り狂ったルイに瀕死になるまで殴られた。


ルイは腫れた顔のレーナを見て気持ち悪がり、以後はいじめることで快感を得た。それに耐えきれなくなくなったレーナは自殺を図ろうとしたところ、止めたのがアルスだった。


同じ苦しみを分かち合い仲良くなる二人。レーナは魔法の使い手として昔から才能があり、幾度と無くアルスを助けた。


その後、ルイとの戦いでも活躍し、二人は結ばれる・・・


ってのが小説内での位置だ。


つまり、俺が全ての元凶となる・・・が、前世の記憶を持つ。だからこそ二の舞いを踏まないようにしてきた。


レーナにも二年前に会ったことはあるが、それ以上関わってきてない。


つまり、何で奴隷になっているのかが俺は理解できない。


俺は嵌めてないし、歴史が変わったか?


色々疑問はあるが、とりあえず今はいい。


それよりもレーナをどうするか、だ。


正直面倒ごとを避けて買わないのが良いとは思う。


だが、その後が恐い。


レーナは魔法を今の歳で僕と同じ聖級まで使える。


最終的に帝級と一部神級まで使えるようになる。


つまり、敵にするとめんどくさい。


ブルボン家の敵対者や主人公達側に付かれたら大変だ。


正直気が進まない。


ただでさえ元敵であるアルスが手元にいる。


ここにヒロインが加わればどうなるか分からない。


が、ここで僕の力が試される。


手綱を握ってこそだ。


言うて奴隷として買うのだ。


反旗を起こされるわけではない。


僕は決心して競りに参加した。


「え〜一万が、おっと、一万五千、あ、二万!」


元伯爵家の娘とあって、どんどん値段が高くなる。


「三万が出ました・・・三万千、四万!」


値段はつり上がっていく。


手を上げて競る大人たちは下品な下劣な目でレーナを見る。


どう使おうか、そんな事を考えている目。



ふと壇上を虚ろで死んだ魚の目をするレーナと目が合った・・・気がした。


その目はどこか親近感が湧く。


死を覚悟した目、と同時に生きたいと何処かで願う目。


前世の僕は死ぬ前にこういう目をしていたのかもしれない。


奴隷を助けるのは主義に合わないが、同士を助けてやるか。


僕は右手の人差し指を上げ、左手で丸を作る。


「じゅ、十万!十万が出ました」


全員の目線が僕の方に向く。


「お、ここでさらに十万五千が、あ、十一万!」


さらに一万僕は足す。


「おっ十一万千が、あっ!十五万です!十五万が出ました!」


大きな声で支配人が言う。


「ルイ坊っちゃま。流石に」

「何、心配するな。僕の貯金ギリギリだがあるよ。小遣いで買うんだ、父さんも文句は言わないはずだ」


諫めるオールドだが、僕は心配無いよう言う。


「他にいないでしょうか!十五万以上はいませんか?」


支配人が繰り返し問うが誰も手を挙げない。


「それでは、これにてレーナ・デ・アルダリースの競りを終了します!販売価格は何と十五万ドールでございます!今年一番の販売価格を大幅に更新しました!」


支配人は大きな声で言う。


僕は人生で初めて奴隷を買った。

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