第11話 戦闘
「風を操りし民よ、荒れ狂う風を、呼び起こせ、【ティープ・ロー・ウィン】!」
中級魔法へと魔力を変換させて放つ。
僕と同じぐらいの大きさの風、いや台風のような見た目のモノがオーガへと勢いよく向かう。
だが、それに気付いたオーガが刀を一振りすると、すぐ消えた。
「糞、これでは駄目か」
頭の中でどうすれば倒せるか考える。
小説では、この隠しダンジョンに入った人数が四人。しかも、全員今の僕らより強い状態。
普通に真正面から行って勝った感じだった。
だが、今は二人で、上級魔法使いと剣士だけ。
勝てる見込みがない。
逃げるか?・・・いいや、僕はブルボン公爵家の長男。恥は晒せない。
しかも、攻撃した時点で逃がされるわけがない。
靄を使うか?いいや、相手も探知は出来るはず。
火魔法は耐性があるだろうから打てない。
上級魔法だとこの部屋が崩れる可能性もある。
駄目だ、僕には分からない。
どうすれば・・・
グララァァァ!!!
突然オーガが雄叫びを上げる。
刀を構え、姿勢を低くする。
この構え、何かヤバい気がする。
僕は咄嗟にシールドを張る。
「アルス、後ろに来い!守れ、【ダブルシールド】!」
二枚のシールドが折り重なるように展開される。
「防げ、【シールド】!」
僕の後ろに来たアルスが更にシールドを張る。
だが、その瞬間、
ドガーーーンンン―――ピキッ、ピキピキピキピキ
音もなくオーガが距離を詰めててきて刀を振る。
その威力は凄まじく、全てのシールドを壊した。
攻撃は受け止めたものの、衝撃までは防げず、後ろに吹っ飛ぶ。
ぐらrsgw:x:
オーガが何かを呟くと同時に、魔法陣が展開される。
火魔法の詠唱か!
僕は咄嗟に相殺する魔法を詠唱した。
「眠れる水の民、我が元に集い、水流となれ、【ウォーター・グラン・フロー】!」
上級の火魔法と水魔法がぶつかる。
本来、火魔法に水魔法という考え方は間違っておらず、正しい判断だった。
ただ、水と火がぶつかることで大きな爆発が起こる。
広い場所だったらそれでも良かった。
しかしここは地下の、広いと言っても平原などではない。
まして、オーガと僕の距離は二十メートルも無かった。
上級と上級のぶつかりは大きな爆発を生む。
それに気付いた僕は後悔した。
咄嗟にシールドを張る。
「守れ、【ダブルシールド】!」
「防げ、【シールド】!」
同じことに気づいたのか、アルスもシールドを張る。
ただ、魔法の習得の差の為アルスは一枚しか張れない。
ヴァァァァーーーンンン―――ドガガガ、ドガァァァーーーーンンン
大きな爆発音とともに何かが崩れる音がする。
グラァァァァ、グヘェェ
オーガの叫びがしばらく続いたが少しすると止む。
僕は何とか耐えれたが、アルスはどうなったか分からない。
土煙が視界を遮り、辺りを見渡せ無い。
「見せろ、【サーチ】」
探知をして辺りを探る。
僕の後ろに気絶しているアルスを見つける。死んではいない。
次は前方のオーガは・・・
「運が良かったか」
瓦礫の下で血まみれになって死んでいるオーガ。
爆発で上の壁が破壊され、たまたまオーガの上に落ちたのだ。
下手したら僕らの上に落ちてたかもしれないと思うと少し身震いする。
まあ、勝ちは勝ちだ。
オーガに近づき死んだことを確認してからアルスの方へと向かう。
「癒やせ、【ヒール】」
治癒魔法を自分とアルスに施す。
みるみるうちに怪我が治っていく。
「・・・ん?ここは、」
「起きたか、アルス」
「ルイ、兄様。・・・!オーガは!」
「死んだぞ」
瓦礫の方を指差す。
「そ、そうですか、良かった」
安堵したような表情を浮かべる。
「立てるだろ、早くお宝を取らなくては」
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