第63話 初の邦人死者

2022年5月25日、水曜日。


解除までのラストスパートとして、当面は連日「抗原検査+PCR検査」を続けるとの通知がありました。


私は未だホテルの敷地から出して貰えませんが、ホテル前ロータリーから見回すと、普通にお散歩をしている人が増えてきています。


今日はなんと防護服の大白da baiが皆さんで記念撮影。

そろそろ地方から来た医療支援隊も地元にご帰還のようです。


入国から83日目、浦西ロックダウンから55日目のこの日、私がアパートに帰れない件について中国人の知人が「やはり納得できない!」と、アパートの所在する地元政府のお役人にハードネゴしてくれた結果、なんとアパートに戻る許可が突然に下りました!


「よし、帰ろう」とアパートの現状を確認したところ、驚くべきことにアパートは未だ封鎖されており、更に驚くべきことに空調の利用も不可となっていました。


この小説を最初からお読み頂いている方はご記憶があるかもしれませんが、ロックダウン初期、現在滞在しているホテルでも「全館空調でクラスターが起きる」として空調を止められました。


ホテルではその後、地元政府と折衝して空調が利用可能となっていますが、なんとアパートは未だに空調が使えず。5月下旬の上海はそろそろ初夏な気温の日があるにも関わらず・・・


一方で、同じアパートに住んでいる知人によれば、一日一回、近くのスーパーへの「買い物ツアー」が行われているとのこと。


小区が封鎖されているのであれば、買い物の為に外出など有り得ませんから、行政のどこかに捻じれが発生しているのではないかと思われます。


この日、上海在留邦人に死者が出たとの日本のメディア報道がありました。


いつかはそんなことが起こるのではないか、と思っていたのですが、現実のものとなってしまいました。

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