第49話 ゼロではないゼロコロナ政策

「ゼロコロナ」は中国語で「清零qing ling」と言います。


中国語の「清」は英語の「clear」に近いニュアンスがあり、「清零」を直訳すると「ゼロクリア」くらいの意味になると思います。


この中国の「清零」の概念、実はちょっとずつ、こっそり(笑)変動しています。


当初の「清零」はまさに「ゼロコロナ」で、一人の感染者も許さないぞ!という政策でした。


然しオミクロン株が世界に流行し始めたところから完全に封じ込めて感染者をゼロにするのは流石に難しいと感じ取ったようで、「動態清零」(「ダイナミックゼロ」と日本では訳していることが多いようです)と呼び始めました。


これは国内の感染者は出るけれども、速やかに隔離することで感染拡大を防ぐという政策です。


然しその方式でも上海市内の感染拡大が収まらない様子を見て、先月中ごろから更に新たな概念「社会面清零」なる言葉が使われるようになりました。


「社会面」とは、隔離施設と封鎖地区以外のエリアのことで、感染者を隔離施設に連行し、感染者が出た場所は封鎖して外に出さないことで、「社会面」の感染者をゼロにしよう、という政策です。


言い換えれば、隔離施設や封鎖地区には山のような感染者が居ようとも、それ以外の地区の感染者がゼロならば「ゼロコロナ」達成!めでたし、めでたし!というのが、「社会面清零」の発想です。


ところが、これを始めた結果、当たり前ではあるのですが、封鎖地区以外の陽性者を片っ端から隔離施設送りすることで隔離施設が不足し、とんでもない場所にある劣悪な施設送りになるケースも多数報告されて市民が大反発、流石にこのままではまずいと気付いた市政府は、更なる新しい概念を発明しました。


それがこの頃に行われ始めた「社会面基本清零」です。


上海で出回っている日本語の解説によれば、上述の「社会面」にて、「3日連続」で「該当地域内の感染者数が十万分の一以下」であること、をこのように言うとのこと。


なんとなく実は徐々にゼロコロナではなくてウィズコロナっぽくなっていないかい?と思わなくもありませんが、ゼロコロナ必達のこの国では、それは言わないお約束です(笑)

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