なにもなく

 ふと地面を見た。雑草なのだが可愛らしい花を咲かせている

 ほっとして涙を流すのは、花に癒やされているからなのだろうか

 落ちている小石を見た

 話し相手にも地面に絵を描く道具にもなるそれは、今でもよき友達だ


 いつまでこうしていられるのだろう

 空を見上げると雲が動物に見えて

 家のお風呂に入った時、お湯に愚痴を聞いてもらい

 風の言うとおりに歩いてみたり

 いつまでそんな世界を見ていられるのだろう

 大きくなるにつれたくさんの負の話が周りからなだれ込む

 私の感情もままならないのに容赦なく負に包まれていく

 葉をつたい落ちる水を見て笑っていたい

 風で揺れる植物を見て私の心も揺らしていたい

 星を見てどんな姿をしているのか想像していたい

 

 だんだん飲まれて見ることもなくなっていく

 そのうち忘れていくんだろうか

 忙しさで大事にしていきたかったものを忘れて、そのうち年を取りそんな事も忘れてしまうのだろうか

 それまでどのくらい見られるだろう

 感じられるだろうか。考える事ができるだろうか。負に負けないで想像で自分を包めるだろうか。

 何もかもなくなってしまう事が怖い

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