狼少女は、飼い主からの愛に胸がいっぱいです!!

蒼本栗谷

どうして私に愛を囁くんですか~~~!?

「オル。オル。こっちを見ておくれ。ご主人の言う事を聞けないのかい?」

「ご主人様、む、むりです、は、はずかしいです!」


 狼少女のオルは自分を拾ってくれた飼い主、ヒロにじっと見つめられる。優しい笑みを浮かべて「見ろ」と言うヒロにオルは今後の事を想像し、首を振る。

 ヒロはいつもオルを褒め倒した。綺麗な長い黒髪を触って、愛を囁いたり、手首にキスをしたり、抱きしめたり。オルはヒロの言葉に幸せで胸が一杯だった。

 家族が死んで、自分も死ぬだろうと思っていた時に通りかかったヒロ。ヒロに助けられたオルは精一杯ヒロの手伝いをしていた。そして気がつけばこの関係になっていた。


「オル、おいで。抱きしめてあげる」

「だ、だだだ大丈夫です!! お、恐れ多い!!」

「僕がいいって言ってるからいいんだよ。ほら、おいで。それとも、命令しないと来ないのかな?」

「うううう……いきます、行きますから!」


 手を広げ優しく微笑むヒロに、オルはゆっくりと近づく。そして腕の中に入ると、ヒロがぎゅっとオルを抱きしめる。


「いい子、大好き」

「ひぃ……やめてください……」

「顔真っ赤だね。かあいいね」

「ご主人様ぁ……」

「いつものようにヒロって呼んで? オルなら出来るよね。いい子だもん」


 頭を撫でながら言うヒロにオルは顔を隠す。顔が熱く感じ、真っ赤になってる事にオルは、また流される。と恥ずかしさで一杯になった。


「いい、ません!」

「オル、言ってくれないの? 悲しいなぁ……」


 ヒロはオルの言葉を聞いて鳴き真似をする。いつもの行為。


「ひ、卑怯です……! ひ、ヒロ、様……」

「……ふふ、いい子」

「うううう……どうして私なんかに……」

「オル、だからかな」


 そう言ってヒロはオルの黒髪にキスをする。そして愛おしそうにオルを見つめる。それを見てオルはひゅっと息を詰まらせてあわあわと口を開閉する。

 そしてオルは見つめられる恥ずかしさにキャパオーバーし、気絶する。


「あれ? オル? おーい?」


 ヒロはオルを起こそうと頬を軽めにぺちぺちと叩く。だが起きる気配はなく、ヒロは困ったようにため息を吐く。


「オル、まだ慣れてくれないんだ。うーんこれじゃあ、婚約の話もまだできそうにないなぁ」


 ヒロはオルをベッドに寝かせ使用人を呼びに行った。


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 数日後。ヒロは執務室で作業をしていると使用人に声をかけられた。


「失礼ですが、ヒロ様」

「ん~なぁに?」

「あの犬に構うのはよした方がいいと思います。貴方にあの犬は相応しくありません。相応しい方と婚約した方がよろしいかと」


 使用人の言葉にヒロは書類から目を背け、使用人を見る。その目は空気が凍る程冷めた青目だった。


「それを決めるのは君じゃないんだよ。クビにしてあげようか?」

「……申し訳ありません。それだけは、ご勘弁を」

「二度目はないよ。僕はオルを心から愛してるんだ」


 そう言ってヒロはまた優しい目に戻り笑って作業に戻った。

 

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「オル、おいで」

「ご、ご主人様、ま、またですか!?」

「駄目?」


 作業が終わり、ヒロはいつものようにオルを求める。

 オルはヒロに近づく。するとヒロはオルを抱きしめ、首筋にキスをする。


「いっ……た」

「これでよし……と」

「ご主人様……? 何を?」

「ひみつ~」


 目立つ場所にキスマークがついたのを確認してからヒロはにこりと微笑む。そのままヒロはオルと共にベッドに寝転がる。


「わっ」

「オル、一緒に寝よう?」

「えっ」

「ね?」


 ヒロはオルを愛おしそうに見つめながらオルを寝かせる。背中をトントンと軽く叩き、オルを眠らせる。

 混乱していたオルはゆっくりとその振動に眠くなり、意識を落とした。


「僕は欲が深いんだよ? 絶対、離さないからね」


 

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狼少女は、飼い主からの愛に胸がいっぱいです!! 蒼本栗谷 @aomoto_kuriya

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