第11話 愛という名のもとに
あのね、時が解決してくれるって言うのは
嘘なの。
混乱してた時は良かったのかも知れない。
時が経つと、悲しみがいつも私の中で
溢れていて、心は沈下していった。
夫の遺骨を前にしてたら、ふとね
名前を書きたくなったの。
夫の名前、娘の名前、お父さん、お母さん、
じいちゃん、ばあちゃん、隣の人。
パン屋さん、雑貨屋さん、、、。
私に繋がってた人達の名前をどんどん
書いたわ。
ああ、こんなに私に繋がってた人達がいたんだと思った。
何でも無い日常の中では気にも留めなかった。
私はこの人達の誰をも弔うことが出来なかった。
やがて、同級生のはらかいでアパートを紹介してもらい、仕事にもありつけた。
一人暮らしのアパート。
寂しいとかそんな気持ちさえ、感じない。
毎日を同じに生きるだけ。
仕事の帰り道、たまたま、葬儀場の前を通った。
私は吸い込まれるように入って行った。
亡くなった人が大切に弔われている。
故人の思い出話をしながら、泣いてる。
そう、ほんとうなら、こんな風にみんな
弔われて当たり前だったのに。
まるでジュッパヒトカラゲみたくにされた人達。
それから私は私に繋がる人達の分だけ
知りもしない人々の弔いに行こうと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます