第11話 愛という名のもとに

あのね、時が解決してくれるって言うのは

嘘なの。

混乱してた時は良かったのかも知れない。

時が経つと、悲しみがいつも私の中で

溢れていて、心は沈下していった。


夫の遺骨を前にしてたら、ふとね

名前を書きたくなったの。

夫の名前、娘の名前、お父さん、お母さん、

じいちゃん、ばあちゃん、隣の人。

パン屋さん、雑貨屋さん、、、。

私に繋がってた人達の名前をどんどん

書いたわ。


ああ、こんなに私に繋がってた人達がいたんだと思った。

何でも無い日常の中では気にも留めなかった。

私はこの人達の誰をも弔うことが出来なかった。



やがて、同級生のはらかいでアパートを紹介してもらい、仕事にもありつけた。

一人暮らしのアパート。

寂しいとかそんな気持ちさえ、感じない。


毎日を同じに生きるだけ。


仕事の帰り道、たまたま、葬儀場の前を通った。

私は吸い込まれるように入って行った。

亡くなった人が大切に弔われている。

故人の思い出話をしながら、泣いてる。


そう、ほんとうなら、こんな風にみんな

弔われて当たり前だったのに。


まるでジュッパヒトカラゲみたくにされた人達。


それから私は私に繋がる人達の分だけ

知りもしない人々の弔いに行こうと思った。

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