第4話 余計なお世話
「クマ撃ちのマタギの皆が猟に出ている頃ですから、銃声なんかも聞こえてくるかもしれませんけど、マタギの皆は一般の人が入れない急斜面や雪深い山の中しか歩きませんから大丈夫です。裏山の林道の入り口から、ゆるゆる登って行かれたら、一時間もかからないうちに山頂に着きますよ。見晴し台もありますし、今日のように天気のいい日は富士山だって見えますから」
女中は、笠井と一緒に座敷を出てから、編集が
中に入ると急こう配の階段になっている。
二階から一階まで降り切ると土間があり、
「良ければ
女中は足首まですっぽりと、毛皮で覆ってしまえる見慣れぬ足袋を、笠井の為に土間に出す。
おそらく
この都会の紳士然とした出で立ちの小説家に、そんな野蛮で野暮な足袋を履けと迫る女の親切心。
雪山登山でもあるまいし。
息抜きするなら、それこそステッキでも振り、雪解け水でぬかるんだ道はできるだけ避け、清涼な山の空気を吸うだけで、充分だったはずなのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます