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…女神とかいうやつにこの世界に飛ばされること早一週間。



どうやら異世界とやらに招かれたらしい(夢での女神談)俺は、気づいたら田舎の村の近くに倒れていた…らしい。



今世話になっている爺さんに聞いた話では村の近くに倒れていたとのこと。



…まあこんな見渡す限りの緑しか見えない場所じゃあ田舎以外考えられないんだが…



結果的にはソレが功を奏したと思っている。



元の世界でも言われていたがこっちの世界でも田舎の人達は何故か凄い親切な人ばかりだった。



見ず知らずの俺に何も聞かず…綺麗な空き家を貸してくれるし、朝昼晩と村の人達がご飯を食べきれないほど持って来てくれる。



日本ではそういう田舎は大体爺さん婆さんばっかりのところが多いけども、この村では若い人達も多い。



なのに何故かみんな優しくて親切。



若者が珍しいから優しくしてるのではない、というのが普通の街で育った俺には不気味…もとい不思議でならない。



なぜ見ず知らずの赤の他人にここまで優しく出来るのだろうか?



…空き家を借りての初日と二日目は何が起きるのかと警戒して疑っていたが、びっくりするほど何もなかった。



そこで俺は気づいたね。



元の世界も、この異世界も変わらない。



田舎の人達は何故か素で人に優しく出来る善人が多い…と。



あ、因みに俺がこの世界に来た理由は『魔王退治』のため。らしい。



夢の中で女神とかいう美女がそう言っていた。



…普通は夢の内容なんて起きたら直ぐに忘れてしまうから、多分神託…的なものでホンモノなのだろう。



この一週間、毎晩のように夢に出ては色々と教えてくれた。




俺が元の世界に戻る方法。


なんで俺が選ばれたのか。


この世界のこと。


これからどうすればいいのか。


何をすれば魔王を倒せるのか。



とか色々な事を聞いた。



すると意外な事に普通に教えてくれた。



『元の世界に戻るには魔王を倒さないと戻れない』らしい。


あとは死ぬか。


でも死んだら魔王が倒されるまで意識がこの世界に留まる事になってしまう、とかいう恐ろしい事も聞いてしまった。


それって俗にいう浮遊霊じゃ…?



次に『俺が選ばれたのはただの偶然』とのこと。



なんでも元の世界から素質や資質がある奴を数人、無い奴を数人ランダムで選んだんだと。



『あなたは素質のある側かもしれませんよ』ってかなりテンションの上がる事を言われた。



…俺って女の手の上で転がされ易いのかもしれない。



なんの素質や資質かは聞いてないので…というか自分が無い側だと分かりたくないから聞かなかった。



が、やはり気にならないと言えば嘘になるけども…



とりあえず俺以外にも元の世界から招かれた奴が数人、この異世界に居るらしい。



『この世界の事』は色々と聞いたが上手く理解出来なかったのでこの一週間、村の図書館とかで色々と自分なりに調べてみた。



女神の話では人間としての能力がステータス、レベルという数値で可視化されている、だとさ。



それじゃまるっきりゲームの世界じゃん。と思ったが…



この村でNPC的な人間には出会わなかったので、まるっきりでは無く『ゲームに似た世界』って事が分かった。



そして肝心の、何を、どうすべきか?については…



『強制するような事は無い。最終的に魔王を倒せれば何を、どうしようと個人の自由』とか言われた。



『自由』と言われて、ヤッホー!と思った反面、んな無責任な…とこれからの未来の不透明さを嘆くような感情も、そりゃああるよ。



…まあ、とりあえず村の人達が優しいので図書館に入り浸って俺なりにこの世界について勉強してみたが…



人間、本を読むだけではダメだね。



直ぐに眠くなるし、俺が欲しいようなざっくりした大まかな情報が無い。



図書館にあるのは、『政治の成り立ち』とか『人間と魔物の違い』とか『冒険者よ、コミュニティを生かせ!』だの…



ピンポイントで細かい情報が載ってる本が大量にあるせいで、どれが俺に必要なのか? どの本に俺が必要としてる情報があるのか?と探すのが面倒になる。



歴史関連の本を読んでもこの異世界の基礎知識が無いからちんぷんかんぷんだし…



…やっぱり義務教育での基礎知識って大事なんだなぁ…と実感したよ。



日本の歴史の本なら内容を細かく覚える気が無くても流し読みみたいにスラスラ読めるし?



気になった所だけ調べれば良いけど…異世界だとそうもいかんのよ。



だから俺はこの村を出る事にした。



もっと大きい街、都会に行ってハローワーク的な所で色々と話を聞く決意をしたワケだ。



…元の世界と同じで世の中何をするにも金、金、金…



先立つ物は必要になってくるからね。




「それじゃ、ここらで…」


「…ああ、助かりました。ありがとうございます」


「気にせんでええよ。兄ちゃん、元気でな」



行商人の馬車に一緒に乗せてもらい、街の近くまで来たのでお礼を言いながら降りて別れる。



…おお、流石にあの田舎の村とは違って建物が多くて都会的だな。



街道を進んでそのまま街の中に入った俺はキョロキョロと辺りを見渡しながらも、とりあえず図書館を目指す事に。



「うーん…図書館はどこに…あ、すいませーん」


「はい?」



しばらく歩くも街の地理を示す案内板のような物を見つけられないのでそこらの人に聞く事にした。



「ありがとうございます」


「いえ」



…そして図書館の場所を聞き、歩く事約8分。



公立図書館っぽい名前の看板がある建物に到着。



そこで俺はこの街の地図がある場所を真っ先に探した。



…お、あった。



コレは…5年前、コレは10年前、コレは30年…



…あれ?今の最新の地図は無いのか?



棚にある本を手当たり次第に取って表紙を見るも最新の地図が見つからない。



「あ、あった…こんなところに」



建物入口のカウンターに座ってる司書っぽい人に聞きに行こうと思ったら、普通に壁に貼られていた。



「…えーと、職業案内所は………ココか…」



…この図書館はココだから………あ、近くに別の図書館があるじゃん。



ソコにいった方が移動時間が省けるからソコに行くか。

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