ぶっ飛ばせ

 満願込めて剣柄たかびを握り

 全霊かけて一手踏み込む

 血を吹きながら地に足つけて

 今生こんじょうきりの一撃しぼる

 最頂点にのぼりつめた今 この時

 わたしの想いはきみのもの


 収束する 溢れる光

 耳朶を打つ 爆音

 肌を震わす 律動


 これだけのものが要る

 これだけのものが要った

 それだけの忍耐がきみをつくった

 その日々がきみを孤独にした


 きみは遠く

 きみは冷たく

 きみは優しく

 きみは暖かい


 地の光

 天の帳

 人の希望

 全てのを引き受けしはらう 最下層に立つ たったひとり

 さびしく貧しい 枢機のたから


 人はいう

 かれが望んだ 選んだ

 いつかより 今を越え とこしえ過ぎるせつまで

 かくあること


 そうなのだろう

 一から十まで それはきっと

 嘘偽りなく 真実なのだろう


 でも

 だけど ねえ

 そんな献身もの

 知ったことじゃ ないんだよ


 心臓から脈

 眼差しから激情

 指先へ注いだ覚悟

 どれも最後のひとかけらまで

 あまさずきみに捧げる 押しつける


 誰もこうしなかった してやるわがままを果たせなかった

 それがきみをこうしたんじゃないか

 それがきみを狂わせたんじゃないか

 それがきみを

 本当は誰より 弱くてえらい きみを


 満願込めて剣柄たかびを握る

 全霊かけて一手踏み込む

 蒸発する朱は恋心おとめの証

 後先知らないがわたしだ


 もう切っ先がきみに届く

 すましてつくろった泣きっつらに

 初恋わたしを込めた一撃がとどく


 もう一振りできみに届く

 きみが望んだ運命の鎖を

 星の終わりまで葬り去る酷薄コクハクがとどく


 こんにちは そして さようなら

 あなたのことを 世界ごと

 すくっちゃうぐらい 好きでした

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