お稲荷さん

 俺は売れっ子芸人をやっている。ピンではなく、コンビでだ。

 容姿は秀でたものはないが、相方の方はモテた。俺の方は、全くモテなかった。容姿はほとんどかわらないのに。

 俺だってモテたいと思った。そう思っていると、偶然お稲荷神社の前を通る。

 普段なら寄ることはないが、誰もいないみたいだったので、寄ることにした。


 財布の中を見る。小銭はなく万札しか入っていなかった。が、これで願いが叶うものならと思い、おしい思いはあったが、1万円を賽銭に入れた。

「女の子と戯れられますように」


 翌日から効果が出た。

 女の子の方から声をかけて来てくれたのだ。

 そうして、女の子と1夜を過ごす。

 それから俺は毎晩、違う女の子と夜の営みをした。

 とても楽しかった。

 しかし、ある日体に異変を感じ、病院に行った。そこで医師から告げられた。

「HIV感染してますね」

「嘘だろ!」

 俺の楽しい女の子との戯れの時間が終わりを告げた。

 そこで俺はお稲荷さんの噂を思い出す。

 お稲荷さんは、対価交換だと。


終わり

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