お泊まり
流石に女性が男子高校生とはいえ、男の家に泊まるのはどうなのだろうか?いくら歳が僕の方が低く、背丈も男の中では僕が低い方とはいえ……それでも、生物学的に抗いようのない筋力差によって、飯野さんレベルであれば押し倒せるけど。
別に僕は憧れの人が自分の家で寝泊まりするだけ。向こうは完全に素性が割れているガチ金持ちの天才でこちらに危害を加えてくる可能性はほぼゼロ。
そんな状態であるがゆえにこちらが断る理由なんてほとんどないんだけど……。
「逆にこっちが大丈夫なのか聞きたいんだけど……」
「え?な、なにが……?私が泊めてもらう話なんだし……私の方ではなくない?」
「いや、女性が男性の家に泊まるんだし、こうでしょ」
「蓮くんであれば信頼出来るし、大丈夫だよー」
「昨日の今日なんだけど?」
これでも知り合ってからまだ間もない。
まだ知り合って二日なのだ。
「私だって少しは有名人としての自覚あるもの……そもそもとして素の私の晒したり、それをどっかの文春に持っていくだけでそこそこのお金になるわよ?それをしななかった、ってだけでかなり信頼はしているけど。」
「普通に犯罪やねんけど」
「高校生で大人の女性を襲っちゃおうなんてそのレベルのモラルよ。普通に女を襲うのだって犯罪だし」
「いや、僕は未成年だからここで飯野さんを押し倒しても悪いのはどう考えても……それに、ここってば僕の部屋だし。犯罪はそっち……というか、ここであえて押し倒して性行為に及んでその様子を犯罪の証拠とした晒した方がもっと燃えると思うよ?」
「……ハッ!」
僕の言葉に飯野さんが馬鹿丸出しの表情でハッとした表情を浮かべる。
「……全然ダメじゃん」
「ま、まぁ、別に良いのよ……えぇ……そ、それに素の私を受け入れてくれた蓮くんだったら別に嫌じゃないというかなんというか……」
「言い訳がましく言い過ぎて全然聞き取れないよ」
ぼそぼそと喋って言い訳を口にする飯野さんに苦笑しながら話す。
「ということで話には戻りますが、別に泊まっていくことは問題ないですよ。客室もありますし……ですが、色々話したうえで聞きますが、本当に止まっていきますか?」
「う、うん……泊めて欲しいなぁ」
念押す僕ではあるが、それでも飯野さんは泊めて欲しいという希望を口にする。
「わかりました……それじゃあ、良いよ。泊っていて良いよ。客室はあの部屋ね。基本的には何でもそろっているから……欲しいのがあったら言って?女性用の化粧品とかも最低限は揃っていると思うよ」
「わぁ……すごーい。準備が良い」
「それと既にお風呂は沸いているので先に入っておいて。その間に夕飯を作っているから」
「あっ、わかった……本当に、何から何までありがとうね?」
「本気の人気漫画家による講習ってだけで十分すぎる元だよ。あっ、入り終わったらちゃんとお風呂のお湯は抜いておいてね。それと服は確かあったよね?こっちに使えるの移していたから」
「うん、あるよー、何から何までありがとう。入ってくるねー」
「はーい」
僕はお風呂へと向かっていく飯野さんを見送る。
「ふぅー」
そして、僕は近くにあったコップを手に取り、高鳴る心臓を鎮めるために水を飲んで息を整える……抜きよう、念押ししなければ良かったかな……いやいや!それは変態的すぎるぞ、僕。
せっかく飯野さんが信用してくれているのにそれを無下にするような行為をするのは良くない……僕の小説を見せてもらってもいるのだし。
「……思春期舐めるなよぉ、カスがァ」
どこまで行っても無防備な飯野さんいドキマギとした気持ちを抱えながら今度こそ夕飯を作るためにキッチンへと向かうのだった。
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