(6)

 お風呂上がりのせいか、アスランの肌が、ほんのり赤く染まっている。

 髪は、まだ乾いてない。

「ん? どうしたんだ? ずっと、あたしの方を見て」

「……か……風邪ひいたみたい……ちょっと温めて……」

「おい、何のつもりだ?」

「い……いや、何か、寒けがするんで、温めて欲しいかなあ……って……」

「だから、温めて欲しいのに、何で、服脱いでる?」

「裸になって抱き合う方が温まるから……」

「そんな馬鹿な話聞いた事ねえよッ‼」

「ボ……ボクの事、嫌いなの?」

「そうじゃねえけど……友達ダチが惚れてる相手と、そう云う事するのは、ちょっと……」

「本気じゃなくて、遊びならいいの?」

「だから、やめ……」

「遊びなら、女の子同士の方が後腐れなくていいよ」

「やめ……」

「夜中に何やってんのッ‼」

 いい所で、お嬢様の声。

「うわあああッ‼」

 ようやく押さえ込んだアスランは……一瞬の隙を突いて……。

「えっ?」

「た……助かった……」

 お嬢様に抱き付いて泣き出すアスラン。

「エイミー、何やってたのよッ⁉」

「い……いや……あの……ごめんなさい……」

「って、貴方、誰に断って、私のお姉様に抱き付いてんのよッ?」

 更に第2王女の……地獄の底から響くような声……。

 しまった……つい、やっちゃった事のせいで……事態が、どんどん、ややこしく……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る