第4章:BOUND

(1)

「あ……あのさ……」

 第2王女が呆れたような表情で、運ばれてきた朝食を見ていた。

「何?」

「はい、言葉遣いが成ってない」

 ボクは新入りの自称「アスラン」に、そう注意する。

「あ……あと……料理が皿から……こぼれてる……」

「運び方、マズかった?」

 その場に居た全員が首を縦に振る。

「もういいよ、あっちの部屋の掃除して」

「あ……ああっ……判った」

 アスランは、そう答えると立ち去り……。

「食事……取り替えます?」

「……あ……大丈夫」

「わ……私も……」

 そう答えながら……運んでる途中に、あまり美味しそうに見えない盛り付けに変貌しちゃった朝食を食べるお嬢様と第2王女。

「え……えっと、田舎のお祭りなんかの、よくあるお芝居だと、そろそろ……向こうの部屋から……」

 ガチャン……。

「ごめん、こっち部屋に飾ってある花瓶割っちゃった。え……えっと、一番、高価たかそうなのを……」

 田舎のお祭りでやられる下手なお芝居そのまんまのタイミング、そして、そのまんまのセリフで……アスランの声が轟いた。

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