(10)

「偽物の王子様と、草原の民の試合までに解決するのかしら……これ?」

「いっそ、向こうの国と交渉して、偽物の王子様を本物って事にしてもらえばどうですか? 本物よりも人間としてマシそうですし」

 夕食と食べながら、ボクはお嬢様にそう答えた。

「ところで、本物の王女様って……」

「ちょ……ちょっと……貴方達、何? それ、誰?」

 ところが、部屋の外から侍女……またの名をボクの子分達……の叫び声。

「何よ、一体……?」

 ここんとこ、3度の食事とお風呂とベッドは何故かお嬢様と一緒するようになった第2王女が様子を見に席を立とうと……えっ?

「すまない。『熊おじさん』の件が片付くまで、こいつを預かっといてくれ」

「え……?」

「あ……?」

「な……何……?」

「がじっ?」

「がじぃっ?」

 第2王女のペットの鳳龍達は……顔を見合せている。

 大好きな相手と嫌ってる相手が同時に部屋に入ってきた為らしい。

「居なくなったと思ったら……どうやって入って来たのよ?」

「野暮な事は訊きっこなし」

 第2王女の当然の問いに……部屋に入ってきた3人の1人は、しれっとした表情かおで、そう答えた。

 入ってきたのは……3人。ラートリーと……あの夜、一緒に居た2人だ。

 ただし、1人は寝てる。

「王都内は、あと何日か、とんでもない騷ぎになるだろうけど……こいつに死なれたら、話が更にややこしくなるんでな」

 ドンッ‼

 ラートリー達は……理由は判んないけど死んだらマズいらしい重要人物を、雑に床に落す。

「だから……誰なのよ、そ……ん?」

「がじがじがじ♪」

「がじがじがじ♪」

 鳳龍達が床に投げ出された、その女の子に駆け寄り……。

「いててて……何しやが……? あっ? おい、ここ……まさか?」

「薬が足りなかったか? えっと、お前の質問に対する回答は……『お前が思った通りの場所だ』だ」

「おい、何で、こんな所に連れて来た?」

「ミッちゃんが死んだら、エラい事になるんで、一番、安全そうな場所に連れて来ただけ」

「だから、てめえら、友達だと思ってたのに、何で、こんな……」

「流石に、お前の命に関わる事態だ。友達ごっこは終りだ。事態が治まるまでは……本来の関係の戻らせてもらう」

「ああ、なら命令だ。あたしに敬語だけは使うな。お前に敬語使われると嫌味言われてるようにしか聞こえねえ」

「だから……これ……誰よッ⁉」

 ポカ〜ン。

 第2王女の問いに……ラートリー達3人全員が……。

?」

「えっ?」

「神聖王国の王子の従者は……いいとこまで推理したけど……あと一歩、想像力が足りなかったな……」

 え……?

 えっと……?

 まさか……?

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