第19話 お金あれこれ2

 ついに次のボーナス期が来た。

 待望のボーナス満額三十万円である。


 何に使おうかなと思っていたら例の親戚の子が来た。

「お願い。お金貸して」

 この子の家は億を越える金持ちなのだが、親の意向に逆らって上京しているので援助を貰えない。それどころか援助を求めたら実家に連れ戻されかねない。

 そこら辺が分かっているので無下に断れない。

 結局十万円持っていかれる。


 残りは二十万円かとお札を眺めていたら、思い出した。

 今期から奨学金の返済が始まるのだ。その額半期で十二万円。

 これでも多少は割り引かれているのだから文句は言えない。


 振り込みが済んだ。

 今回は正月休みで帰京することにした。

 新幹線代と向こうでの滞在費で残り八万円が全部消えた。

 畜生・・。



 五十万円持って上京して、七年間こき使われて故郷に帰った。そのときの所持金がボーナスと退職金も合わせてわずかに百万円。

 遊びなどせずに慎ましやかに暮らしていた。残業も山ほどした。それでも七年間で五十万円しか稼げていない。


 安月給というものは悪だと断じてもよい。自分を安売りするほどの人生の無駄はない。

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