僕の恋人は世界最強の暗殺者サマ

ゆきぃ

第1話 僕の彼女は今日も強い

ある春の出来事だった。

世界最強の暗殺者、スタークが消息を絶った。

裏社会でもひときわ実力のある存在の関係のため、

各国では彼女を超える凄腕の暗殺者が登場した。だったり、

彼女が裏でトップを殺す作戦を遂行しているなどと、噂がされ、

世界の裏側では大きな渦が回り始めていた。










「貴方の事が好きです。木島くん。私とお付き合いしてくれませんか?」

去年の終わり頃、僕はクラスメイトの美人から告白を

受けた。こんな取り柄のないやつに何でとも思ったが、

そもそも友達のいない僕の話し相手になってくれた人でもある。

「僕でいいなら…よろしく?お願いします。」

ならば受けるのが筋だと思った僕は了承した。

その日から、僕と彼女との交際が始まったのだが…


「木島くん…つけられてる。多分追手。強いとは思うけど

私達は絶対捕まってなんかやんないんだから。」

僕は今空を飛んでいる。可愛い彼女に抱かれながら。

ビルや建物の間を、1人の男を抱きかかえているのに

軽々と飛び跳ねていく。

彼女の名はスターク・水城。フランス人の父と日本人の母を持つ

ハーフ。父親譲りの銀髪と青い目。そして母親からの美貌も

受け継いだ正に百年に1人の美女なのだ。

そんな彼女になぜ今抱えられてアクロバティックデートを

しているのか。

チラッと後ろの方を見ると、水城と同じ様にビルを飛び跳ねて

怪しい黒服達がこちらを追いかけてきている。

「あのー。あの人たちは知り合い?同業者?」

「部下。暗殺者組合のときのね。」

水城の父と母はずば抜けた容姿の持ち主というだけでなく、

裏の世界、暗殺者の同業の繋がりもあった。

水城はその中でも中学生の頃に組織の中で最も優れている

暗殺者として名を轟かせることになり、小会社の社長の

暗殺から、国の議員の殺しまで、何でも引き受けるように

なった彼女は、最強の暗殺者の1人として活躍していたらしい。

「ところで水城さん。なんで僕たち追われてるの?」

「…私は木島くんと付き合うために暗殺業を辞めてコッチにまで

身を隠してたんだけど…。日本に滞在していた奴から情報が漏れた

みたいなの。それで昨日から多額の懸賞金がかかっちゃって…。」

しょぼくれた顔でスマホの画面をコチラに向ける。

そこには、僕と水城さんの映った写真の下に、兆を超えるほどの

金額がかかっていた。

「…なんか僕のほうが高いのはなんなの?」

「多分私の情報を持ってる分捕らえて拷問したら吐いてくれるって

考えででしょうね。ほら、木島くんそんなに強くないし。」

彼女から言われると凄い痛いが、暗殺者の中で恐れられてる女と

そこらへんの高校生の男を比べてもどちらが強いかなど聞かなくても

分かる。

「でも大丈夫。木島くんは私が…」

いつの間にか回り込んでいた黒服達が全方向から襲いかかる。

「ちょっ…水城さん⁉周りに!」

コレで終わりかと目をつぶった僕の耳に聞こえてきたのは

僕の体からどくどくと血が流れる音でも、うめき声でも

無かった。目を開くと、そこには赤い血溜まりがあるだけで、

黒服達の姿は無く、風に乗って飛ばされていく服が見えた。

「私に手を出す、私の木島くんに手を出すということは

私への挑戦を意味する。だから容赦なく切り捨てるから。

木島くんは守るかわりにちゃんととしてしっかりしてね。」

にっこり微笑む彼女を見て安心と緊張感が一気に来る。

「さてと。デートの邪魔はされちゃったけどまだ夏休みは

始まったばかり!何があるか楽しみだなー。」

裏路地に降り、僕も水城さんから降ろしてもらう。

「水城さん。次何処行く?」

「じゃあカフェに行こ!私甘いもの食べたくなっちゃった。」

街中を手を繋いで歩き始める。

さっきの黒服たちを一掃するところもだが、やはり

可愛いのだ。

今日も僕の彼女は最高に強くて可愛い。











続く。








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