キッチン/吉本ばなな
10代の頃に読んだTSUGUMI以来の吉本ばななさんでした。
申し訳ないことに当時TSUGUMIちゃんのこと全然好きにならなかった記憶があるんだけど田辺くんやえり子さんのことは好きになってた。
カジュアルで砕けてる文体も楽しめて良かった(おそらくその前に読みにくい翻訳本を読んでていたため)。
温かい家庭の象徴でも、生活力の証でもなく、主人公にとってはなんかわからないけど落ち着く、みたいな存在がキッチン。初めての家に来てまず見る場所でもあるキッチン。
人の喪失によって家と向き合っているというのがおもしろい。
田辺くんとの一対一の関係だけではなく、人と人の間に作り出される空間や空気の存在を感じる。
そんなに人を死なさずに物語を動かせよとはちょっと思ったけど、死という最大の喪失、そしてそれを乗り越える生活、というテーマなのだろうか。
そしてこれはディスではなく、文章が優しいとか固いとか明るいとか内向的とかそういう形容詞の一つとしての感想なのですが、なぜかサブカル臭い。
イメージが先行しているのか?
どこがなぜと考えても分からない。
みかげちゃんと田辺くんが気持ちを共有するのも、みかげちゃんが他人と自分の違いを感じるのも、境遇や生い立ちによるものであるはずなのに、なぜかインディーズバンドや単館映画を共有するときの閉じた趣味の空気に見えた。
本当に完全に個人的な感想です。
肉体の生々しさや精神的な仄暗さは薄く、でも登場人物の悲しみはずっしり重たく、生き方はきちんと泥臭く、独特な雰囲気だなと思った。
これが吉本ばななさんの魅力なら好きな作家になりそう。
軽い読み応えだけど、これたぶん今後も読み返していくことになりそう。
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