シン・ゴジラ

 無人在来線爆弾、というワードが、何か自分の中でやばいほどヒットしている。

 普段の自分たちの生活にあるものが超強い武器として活躍するワクワク感、生身の人間が毎日乗っているものが兵器になるショック、当たり前にあった日常が実は簡単に壊れるものだったと気づく怖さ。なんとなく感じていた、電車って本気を出せば実はめちゃくちゃ強いのでは、というドキドキとか。

 ポジティブなのかネガティブなのかすらわからない感情が「無人在来線爆弾」のワードよって自分の中で爆発している。

 

 日常にあるものがそのままの姿で、というのが、別世界のSFよりファンタジーより興奮がある。

 無人在来線爆弾。

 自分のボキャブラリーの範囲を超えた破壊力にやられている。


 東京の高層ビル群もそうだ。

 まるで怪獣みたいにデカくて、これがもし倒れてきたら、という子供の頃の妄想が実現(ではないけど)していて、子供の頃に感じたあのドキドキは子供騙しじゃなかったんだ! と思う。これはパシフィックリムを観た時にも感じた興奮。



 いろいろ考えてしまい疲弊する映画だと思っていた。

 いろいろ考えるというのは、こんなにリアルな描写、リアルというのが安直なので言い換えると、要は出てくる景色や人の振る舞いがここまで自分たちに関係して見えるのに、それをフィクションとして片付けられない。

 フィクションなのは当然であっても、これってどういうこと、といちいち考えてしまう。このセリフはこういう事情だろう。確かにこういう状況ではこういうことが言われる。こういうことみんなするよね。こういうめんどうなことになるよね。あのへんは知ってるところかもしれない。向こうはきっとこんな感じだろう。あそこの人たちはこうなっているんだろう。

 一つ一つ立ち止まって、全てに引っかかって考えずにはいられない。

 庵野さんが何かのインタビューで、「壊される街を見て『あそこは自分の家だ』『職場だ』と思ってもらいたい」というようなことを言っていた記憶があるのですが、そういうのが好きです。観たいのは別世界のすごいお話ではなくて、自分の世界の話だ。


 なので、腹くくって観るぞと覚悟していた。

 それがむしろ元気が出る映画だった。

 めちゃくちゃ頭悪い感想になってしまうんだけど、観終わったら元気が出てきた。


 仕事するぞと思った。

 自分にとって仕事とは、専門性を高めて武器にすること。

 ヒーローはいない世界。それぞれ自分の仕事しかできない。それだけができる。だからこそ力が湧いてくるんじゃん。

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