鼓舞

@agmcanar

第1話 プロローグ

ガハハハ。ギュウギュウに詰まった居酒屋でもハッキリ分かるくらいに後輩が笑っている。

 「三井さん、なんすかその話?面白すぎますよ。」

 青木は僕の鉄板トークでお腹が痛くなるくらい笑ってくれた。青木は昨年に仕事を通じて知り合ったが、偶然にも地元が近く、何かと気が合うためよく飲みに行く仲だ。

 一頻り笑いが起きた後、小腹が空いたので追加で頼んだ唐揚げを頬張っていると、青木が尚も話しかけて来た。

 「三井さん、野球部だったって聞いてましたけどどんな感じだったんすか?何か別に大したことなかったとしか聞いてなかったっすけど。」

 「でもホントに大したことは無かったよ。お前が凄すぎて霞むわ。確か甲子園にも出たんだもんな?」

 「はい、一応は。ただ、山形に野球留学してた感じだったんで、ホームシックとか色々大変でしたね。」

 青木は元々僕と同じく埼玉の田舎町出身ではあったが、高校は山形の高校に留学し、甲子園にも出場するほどの腕前の持ち主だ。そんな彼に自分の野球部時代の話をするのは恥ずかしいやら何やらではぐらかしていた。

 「そっか。地元じゃないと中々息抜き見つけるのも大変だもんな。でもそこで三年間頑張ったのは偉いよ。」

 「ありがとうございます。ところで今日は三井さんの話も聞かせてくださいよ。お話しいただくまで帰しませんよ?」

 青木は冗談めかして両手を広げた。

 「アハハ。分かった。じゃあ喋るよ。高校時代はさ…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る