第23話【セリフ】「はなさないで(懇願)」(2024/3/18(月)作成、投稿)

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A「絶対、絶対、別れない! こんなにあなたのこと好きなのに!」


B「それは僕も同じだよ。だけど……」


A「浮気したわ! 一人だけじゃなく三人と、しかも一晩で!」


B「うっ……それは、本当にごめんだよ。だから、別れようって話になったんじゃないか」


A「でも、私は別れたくない! あなたが心を入れ替えてもう浮気しないと約束してくれるなら、許してあげる……本当は許せないけど、許す努力をしてあげるから……私と別れないでほしい!」


B「その気持ちは嬉しいけど……」


A「私のこと、もう嫌いになった? ただの浮気じゃなく、相手のこと……三人のうち誰か……ううん、三人とも本気で好きになったから、私のことを捨てるの?」


B「相手のことは、ただのノリで、その場の勢いでの遊びの関係で一度だけだし、相手も……三人も、全員そういうつもりでいるから。好きとかいうわけじゃない……人としては好きだけど、恋愛感情は持っていない。

 とはいえしてしまったことは事実だし、都合のいいこと言ってるようだけど……今でも君のことが一番好きなんだ。……愛している、結婚を本気で考えていたくらいに」


A「だったら、なんで?! 別れなくていいじゃない? ねぇ、やり直そう?」


B「僕だってそう思ってる」


A「じゃあ……!」


B「……いや、ダメだ」


A「なんで? どうしてよ? 何がダメなの?」


B「きっと僕はまた同じ過(あや)ちを犯(おか)してしまう。こういうことは一度やってしまったら、一度も二度も、それ以上やるのも変わらないんだよ。

 どこに行っても評判を聞いている人からしたら『一度やったんでしょ?』って目で見られる、だけじゃなく言われるし、それを聞いた、評判を知らなかった人たちからも、『えー? だったら……』って言われるんだ」


A「それは、そうだよ。だから『あなたの場合は攻める側ならいいけど、攻められる側になったらダメ!』って釘(くぎ)を刺(さ)しておいたのに」


B「うん、それはゴメン。僕が悪かったよ。不用意にやっていいことじゃなかった」


A「確かに? その日は前からみんなで集まるの楽しみにしていたのに、仕事が長引いて見に行けなくて。内容が内容だし? 職場で仕事しながらは、って遠慮してたけど。トイレ休憩で離席した時に、チラッとでも! って見に行ったら……」


B「うん、仕事で来れなくなったと聞いていたのに、途中で君が入って来た時はビックリしたよ。しかも最中だったし……」


A「ビックリしたのはこっちだよ? ……私の見ていないところでやったことは、『えぇぇぇえーっ!? なんで?! どうしてー!? ひどいよ~!!』ってショックだっだし」


B「わかるよ、約束破ってしてたんだものね」


A「……でもね。そのショックは、あとから考えると、約束を破ったことよりも、二人分丸々と、最中だった三人目も最初からで聞けなかったことの方が大きかったな、って」


B「? 僕が攻め役専門の約束を破って受け役やってたことは、いいの?」


A「だって……良かったんだもの、演技が。あの時だって、心の中では『墓』をたくさん立てていたくらいよ? でも、悔しかったからコメントでもスタンプでも立てなかったけど。相手に喘(あえ)がされてるあなたのこと、もっと見たい……聞きたいって思っちゃった」


B「それって……今後は僕の受け役解禁ってこと?」


A「ただし、私が見ている時の配信でのみよ? 自枠でもコラボ上がっての配信でも。私が聞きたいから! 声劇とか役と出演が前から決まっていて、私の予定と関係なくやらなきゃいけない時は、画録で後で見せてくれるなら……だから画録OKなところだけね?」


B「うんうん、それはもちろん! ……ってことは? 僕たちは別れなくてもいい、ってことで良いのかな?」


A「私は最初から『別れたくない!』って言ってたじゃない」


B「そう、だね。僕の方から、君の機嫌(きげん)を損(そこ)ねただけじゃなく、約束を破ってしまったことを重く受け止めて、別れなきゃっていけないって思い込んでただけで……なんだ、それなら良かった! 良かったよ~」


A「でも! 『浮気』を許すのは、あくまでもBL(ビーエル)セリフ枠での配役の演技上でのことだけだからね?」


  □ ■ □


C「ほら、早く認めろよ? 俺のことを一番好きだって」


B「あぁぁっ!? そこは!! ……それは……」


C「……じゃないと、お前の幼馴染みだっけ? そいつに俺との関係をばらそうか?」


B「アイツに……? うっ……くっ、……ハァハァ、んんっ!」


C「それとも、今のこれを途中でやめた方がいいかな?」


B「あ、ダメ! は、はなさないで! 僕のこと……」


C「え? それはどっちの“はなさないで”だ? 幼馴染みにお前とのことを“話さないで!”か? それとも今、お前の体から俺の体を“離さないで!”か? どっちだ? んー?」


B「そ、それは……どっちも……」


C「じゃあ、俺のことを一番好きだって言えよ? 愛してるって」


B「………君のことが……一番好きだよ、愛している。だから……お願い、やめないで?」


C「はい、よく言えたな。ご褒美に続きをしてやる!」


B「アッ!!……んんっ、ハァハァ、あぁぁぁっ! ……あ、ありがとう、ハァハァ、ハァ……」


SE:ピッ、ピィィィー!!(警告音としての笛の音の効果音)


SE:ヒューヒュー! パチパチパチパチ!(歓声と拍手の効果音)


C「いやぁ、良かったよ! B君の受け役」


B「そんな……Cさんの攻め役の演技につられて熱が入ってしまっただけで……」


C「こっちこそ、攻め甲斐(がい)があって、ドキドキしちゃったよ!」


B「いやぁ、そんな嬉しいこと……あっ、あ、でも何より、Aが書いてくれたこの台本がよかったから……」


A「あ、ありがとう、そう言ってくれて。Bのために書いて良かった。あと、攻め役と言ったら! のCさんに、Bの相手役で掛け合いしてもらえただけでも感激なのに、それが私の書いた台本でなんて、光栄です!」


C「ははっ、そんなこと言われたら照れちゃうね!

 ……事前にセリフ枠の告知宣伝ポストにアップされた台本を読んで、セリフの中の『はなさないで』が最初ひらがなで、二重の意味を含めてあるところが、面白いと思って、読んでみたかったんだよ」


A「それは嬉しいです!」


C「しかし……これまで攻め役専門のイメージだったB君が、これからは受け役も解禁か……楽しみだねぇ」


B「ハハハ、今度またお相手してもらう時には、お手柔らかにお願いしますね?」


END


※※これはフィクションです※※


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【配役説明】


A……Bと付き合っている。その関係が周囲にも公認か、秘密の関係か、の設定は演者の自由。

 女性を想定だけど、役も演者も性別設定自由。


B……Aと付き合っている。その関係が公認かそうでないかの設定は演者の自由。

 男性を想定で、「演者の性別も男性限定」。リアルでの法律上の性別が女性で、女性が喘(あえ)ぐのが禁止されているREALITY等での配信では厳守‼️ 垢BANされたくなかったらって理由で。


C……BLセリフ枠編で攻め役担当。

 男性を想定で役は男性限定だけど、演者の性別は男女どちらでもよい(攻め役なので)。

 なんならA役の人が兼ねてもOK。ただし、最後の方でAとCで掛け合いシーンがあるので、そこは注意。


【セリフの流れ説明】


 前半部分(途中で入る[   □ ■ □   ]の区切り線で区放られた部分で、前後にわけた時の前半)は、AとB主体の話で。

  ↓↓↓

 後半の途中までは作中物語なBLセリフ枠の台本をB(受け役)とC(攻め役)で読んでいるシーンで。

  ↓↓↓

 その後はBL掛け合いセリフを読み終わった後のアフタートーク的なシーンです。


【セリフを読む時の注意】


 一人称や二人称、三人称、語尾等の、演じる役の解釈や雰囲気にあった変更はOK。

 セリフの中の呼び掛けでのA、B、Cの部分は、それぞれの演者のハンネ、もしくは事前に設定した好きな名前を当てはめます。

 BLセリフ枠編では、喘(あえ)ぎ的なセリフがあるので、読む場所(配信アプリ等)でそういうのが禁止されていたり、演者自身が苦手な場合は、読むのは素直にやめておきましょう。

 また、過剰に扇情的に演出して演じるのは、何でも「やりすぎはダメ!」ってことで非推奨で、控えめに……想像力で補ってもらうくらいの方がかえって良いのでは?

■■


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【解説/あとがき】


 これは、今日3/18(月)11時59分までが応募締め切りだった、でもお題が2024年3月14日に発表されて募集が開始されてから4日後が締め切りというタイトなスケジュールな上、本当は休みの予定だった3/14と3/15が仕事入って、元々土日の3/16と3/17も仕事で、疲弊しきった状態で。

 今日の締め切り時間まで1時間切ってから書き始めても間に合うはずもなかった、でもギリギリまで書いてたけど、規定の800字以上の文字数に達する前に締め切り時間が来て諦めて。

 普通に掛け合いセリフ多めの小説として書く予定だったのを、掛け合いセリフ台本に流用に変更を決めた段階で。

 応募知って、お題が意図的にひらがな表記だったことに気づいた瞬間に、その二重の意味をネタに書けるかも? とメモしたネタ部分のみ活かすことにして。

 実際に今日書き始めた時に即興で決めた、「普通に男女の別れる、別れない話をベースに」を変えて。

 途中で思いついた、BLセリフ枠配信でのやり取りを巡るお話に変えて、途中までは普通の男女の別れ話の流れで進めて行って、でも途中から何も知らない読者目線では話が噛み合わなくなって、そのまま進むと「ああ、そういうこと!」とわかるように書いてみましたが。

 BLセリフ枠配信を知らない読者だと、最後までわからないかもしれない?


 なお、カクヨムで募集されてたのは、


↓引用開始↓

『KAC2024 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2024~』は運営が公開する創作のお題に基づいて、ユーザーが作品を投稿することで参加できるキャンペーンです。

期間中に、計8回運営からお題が出題されます。参加者は毎回出されるお題をもとに、本文文字数800字以上で作品を執筆&公開してください。

↑引用終了↑


 というキャンペーンの【3/18 11:59締切】KAC2024 第5回お題「はなさないで」で。


 それで思いついたネタとは、


「はなさないで!」


「え? それはどっちの“はなさないで”? “離さないで”? それとも“話さないで”」


 です。前後はとりあえず考えずに、それだけメモしておいて、締め切り当日1時間切ってから、……確か、なんだかんだ他のことをしていて、残り20分を切ってからで、前の部分を考えて埋めることをしようとしたけど、まぁ、無理だね、って話でした。

 たとえ書けても、最初から通しで読んで誤字脱字チェックや、投稿規定に沿った投稿手続きやらで、時間がかかるから、無理があった!


 だけど途中まで書いたし、ネタを活かすためにも、セリフ台本に流用した、と。


 ちなみに話の流れ上必要なシーンとしてBLっぽい話題に触れる話は書いたことはあるけど、喘(あえ)ぎ含めて最中を想像させるセリフは書いたことは無いので……とても不自然だと思いますが、今のところこれが限界ですm(_ _)m

 じゃあ、何故書こうとしたのか?

 もの書きの端くれとして、思いついたアイデアを作品化するためには、実際にはそのジャンルはメインで扱わなくても、(趣向として)苦手だったり(技術的に)不得意でも、書かなきゃいけない場面があるはずなので……。

 

■■

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