第189話 アイシテル

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「レイっち・・・ごめん。しくった。少しくらいならやれるって思ってたけど、あのブルーノとかいうヤツ激ヤバだった。あーし何もできなかった・・・あぁ目がぼやける・・・腹に穴が空いて血がたりねぇ・・・しょ・・・足も折れてっし、首も折られたぺ~し、、、あーしこんな所で死ぬんか・・・」


虚ろな目をするナニアの目の前には気を失って倒れているスネイルがいた。


「あぁ!あーしがもっと早く走れてれば、コイツ捕まえて終わりだったのにな・・・あーしはやっぱ足手まといか・・・結局あーしなんもヤれてねぇ・・・」


瀕死のナニアがそんなことを思っているのを嘲笑うかのようにスベテヲクラウモノが急激に動き始め、その腹の中でナニアとスネイルはもみくちゃにされるのであった。


瀕死の状態でさらにもみくちゃにされ、いよいよ死まで後一歩といその時、ナニアの目にスネイルが握りしめていた千鬼丸がポトリと落ちるのが見えた。


「!!あ、あれを誰にも渡しちゃいけ、、、いけないんだ。アレさえブルーノにもスベテヲクラウモノにも渡らなければ、あーしの勝ちぢゃね?レイっちや皆のためにもアレだけは渡しちゃいけねんぢゃね?う、う、動け!あーしの身体ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ナニアはズリズリと、ほふく前進をするように這いずり千鬼丸の元へ向かうが、瀕死の状態のナニアには果てしないほど距離に感じられたのであった。


なんとか千鬼丸をブルーノにもスベテヲクラウモノにも渡すまいと藻掻くナニアに追い風が吹いた!!


何と一瞬であったがスベテヲクラウモノが真っ二つにされたのであった!!


その衝撃は凄まじくナニアとスネイルは同じ方向へ吸い寄せられた!!

ゴロゴロと転がる2人。

さらに小型のワームが無数産まれ2人を引き合わせる様に2人を転がすのであった。


そして、遂にナニアはスネイルの手から零れ落ちた千鬼丸を奪取することに成功した。


そのままそれを口に入れ飲み込んだ。


次の瞬間。ナニアは自我が飛んでいってしまうような、衝撃と身体全体がミチミチと音を立てるのを聴いた。


虚ろな意識の中、ナニアは湧き上がる全てを壊さんとする破壊衝動を感じた。

そして、それを実行可能にするかのように折れた足や首の骨が再生し腹に空いた穴が塞がり筋肉が隆起していくことを感じた。


「ウガァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

虚ろな意識の中ナニアは暴れた。

力の限り暴れ自身がモンスターか何かに堕ち、このまま戻って来れないと感じた。


完全に意識が破壊衝動に飲まれそうになった時、ナニアはレイの顔を声を思い出した。


『ナニア。ナニア!いつもありがとう。俺はナニアを愛しているよ。』


それは、ナニアが生れ落ちて今日まで触れたモノの中で何よりも温かく尊いモノであった。


「・・・レイっち!レイっち!あーしもレイっちのこと!アイシテル!!!!あーし必ずレイっちのところに戻る!!」

ナニアは破壊衝動ごと千鬼丸を完全に自身の中に飲み込み克服したのであった。


そして、そのまま溢れる力を奮い目の前のスベテヲクラウモノを繋ぎとめる小型のワームを殴り引きちぎり貫きナニアは飛ぼ出したのであった!!

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