第128話 天使?戦乙女?豊穣の女神?

俺が動けるようになった2日後、俺はロコロッコの街に出て驚愕した。


街中がナニアを認知している!

それも物凄く好感度が高い!!


「ねぇ!この異様な盛り上がりはどうしたの?これってどうしたの?ザルドル?」

「ワハハハ!まぁそうなるわな!んじゃいっちょ説明してやるか!実はなこの街ではナニアはちょっと神格化されてる。」

「はっ?神格化ってどういうことだ?」

「登場も含め色々インパクトがありすぎたんだろうな~」

「インパクト?どういうことだ??もっとわかるように教えてくれ!!」

「まぁまぁ焦るな。そうだな。お前は覚えてないかもしれないけれど、お前たちはあそこに見えるオアシスの水柱=水花火から落ちてきたんだよ。」

「水柱?」

「あぁ。定期的にな数十メートルの水柱が立ち昇るんだ。うちのオアシスは。それをって言うんだけどな。お前たちは60メートルくらいまで立ち昇った水花火から落ちてきたのさ。」

「そんなもんが・・・(ってことは、もしかして・・・)」

「その落ちてきた姿ってのが、凄かったんだ。お前んとこのミミってスライムが水面直撃の瞬間に膨れ上がって衝撃を殺した。そして水面に落ちたお前たちだったが、多分無意識なんだろうが、ナニアはお前に抱きしめられるように守られてたんだ。だから、お前より衝撃がなかったんだろうな。俺たちが助けに入ったら、ほどなくしてナニアは目覚めたんだ。」

「そうか。ナニアは軽傷だったんだな。そんなに早く起きてたのか!良かった!でも、それが何で神格化に繋がるんだ?」

「まぁつまりよ。水花火っていう幻想的な状況の中、絶世の美女が天から舞い降りたように俺たちには見えたってことだな。だからよ、助けに行ったやつらや介抱した奴らはこぞって『天使様が降臨した!』なんて言ってたぜ。俺も長年ここにいるが、そんなこと初めてだったし、他の奴らもそうだからな。インパクトがとにかく凄かったんだな。」


「そういうことか。だが、それ以外の要因もあるじゃ?この熱気は異様だぞ?」

「あ~そうだな。それが『お代はいらない』って言ったことと繋がる。ナニアはそこから2日休んだ後、お前の看病を俺たちに依頼して、あのミミってスライムと一緒に砂海にいったんだよ。なんでだと思う?」

「いや、わからない。なんでだ?」

「レイ、お前のためだよ。砂海にいる砂海鮫のフカヒレは滋養強壮に効果絶大なんだ。そのことをうちの使用人から聞いたら飛び出していった。」

「そうなのか。ナニアも身体ツラいのに悪いことをしたんだな。ありがとう。あとでナニアにお礼しなきゃな。」

「そうだな。お前のこと泣きながら心配してたからちゃんと労わってやれよ!お前の妻なんだろう?」

「あぁ・・・つつつつつつっつ妻!!」

「何を今更恥ずかしがってんだお前(笑)んでだ、ナニアがなお前のために砂海鮫とりに言ったんだけどよ、お前も砂海渡ってきたんだったらわかると思うけどよ、あの過酷な環境で大型の砂海鮫を捕まえるのなんて大変なんだわ。うちの商会でも週に数本あがれば上々だ。そんな中、ナニアはやってのけたのさ。」

「な、なにを?」

「船も使わずに、あのミミってスライムの特性利用して単身で砂海の中に入って行って砂海鮫から砂海蟹、キラーウツボ、サンドストームウルフ、ツインヘッドカウ、極めつけは砂海の花何て呼ばれてる、って希少な観賞用モンスターまで捕獲してきたんだ。」

「凄いことなのか?」

「凄いなんてもんじゃないな。ナニア1人この一週間で、向こう数か月分以上下手したら1年間の売り上げを出したんじゃないか?そんなモンスターに無双するところから戦乙女ヴァルキリーだとか、『街の人に助けてもらったから』と言って、無償で街中に配って歩いてるところから、だなんて神格化されてる。ちなみにお前もな(笑)」

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