第117話 咆哮

「ミミックスライム!お前の悔しさは充分にわかった!俺がお前をあのガイコツの呪縛から解放してやる!!」


俺はフラフラになりながらもミミックスライムをヘルスカラーの呪縛から解き放つことを決意した。


先ほどのアイシクルの影響でミミックスライムは腕先が凍っていて、現在再生中だから少し余裕が出来た。


「はぁはぁ。って言ったってどうするか?俺の切り札と言えばモンスターの技だが、さっきのゾンビの大群倒すのに使ってしまったしな・・・ん?これはもしかしたら!!」


俺がこの状況を打破する策に気付きかけた時、腕を再生させたミミックスライムから追撃が入る!!


「おっと!!」間一髪で躱す!!

「おい!ミミックスライム!!今から俺がそのクソみたいな呪縛からお前を解き放ってやるから全力で俺に抵抗しろよ!!さもないとお前諸共吹っ飛ばすぞ!!」


ガリッガリ!


一か八かだがやるしかない!!


『ヴァァァァァ!!!!!!!』


ありったけの魔力を籠めて俺は咆えた!!


咆哮ハウル!!」


俺の口から超音波を伴う衝撃波が放たれる!

これは先ほど倒したヘルガーディアンの技だ。

なんで俺が使えるかと言うと、さっき俺とナニアで倒した際にドロップした小さいアメ玉の様な石を食べたからだ。どうやらヘルガーディアンを食べた判定になったらしい。


その衝撃波に俺は自身の魔力で風属性も付与した形で咆哮を放った!!


それとほぼ同時にミミックスライムも『咆哮ハウル』を放った!!


両者の咆哮がぶつかり合うことでキィンキィンと音が鳴り響くとともに付与されている衝撃波の効果で周りの地面がボロボロと崩れていく。


ミミックスライムの方がやはり先ほどと同様に、俺+ミミックスライムの分、威力が強い。


このままだと押し切られてしまう!!


俺は根こそぎ魔力を注ぎ込む!!


「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」


キィンキィーン!!ガギィーンギィーン!!と音が変わり、する!!

俺とミミックスライムに衝撃波とは別に共振から来る振動が襲う!

振動は増幅し凶器となり俺とミミックスライム双方を襲う!!


もう限界だと思ったそのときに唐突にそれは怒った!!

キィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!


ピシピシッガキィン!!


ミミックスライムの首から『狂乱の首輪』が粉々になり地面に落ちる!!


ミミックスライムの赤い目が透き通る水色に変わった。

『ギシャァァァ・・・ピピィ?』


「はぁはぁどうだよ?呪縛から解放された感想は?」

『ピィ!ピピピピィ!!』

ミミックスライムは俺の姿を解き本来の丸い透き通った水色の形状に戻りピョンピョン跳ねて喜んでいる。


「でだ、ミミックスライム。まだ俺と戦うかい?」(正直魔力スッカラカンだから嫌だ)

『ピィ!ピピィ!』

戦う意志があるのか俺と同じ形状に変化した。


「マジか・・・しょうがない。来い!」(もう俺にできることはない。だが、今の状態ならもしかしたら無力化できるかも?)


対面する両者。

どちらも動かない。

というか俺は動けないし動くつもりがない。

前世の記憶になるのだが、モノマネを主体とするモンスターは何もしなければ自滅する的なことをゲームかアニメかで見た記憶がかすかにある。

俺はこれに賭けることにした。


時間が経過する。


『ピィピピィン!!』と何か謝っているような声を発したかと思うと俺の姿をしたミミックスライムは前のめりに倒れ、そして元の姿に戻った。


どうやら俺の勝ちらしい?

「ふ~勝ったでいいのかな?」


そんな安堵の声をあげた瞬間に俺とミミックスライムの目が合うのであった。

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