第116話 涙
我が創り出した『狂乱の首輪』がある!!ミミックスライムよ!目の前の男を殺せ!!」
ヘルスカラーの命令を受けた瞬間、俺の顔をしているミミックスライムの目が赤く光った。
そこからは俺が使う技や魔法に加え、俺の身体能力なら可能と考えられる剣技などで攻めてきた。
あれよあれよという間に俺はボロボロにされた。
『こりゃヤバイ。』今の状況での正直な感想だ。
さっきまでの俺のモノマネをして攻撃をしてくるだけだったら、なんとか対処できた。
だけど、モノマネ攻撃だけでなく俺が覚えてる技や魔法を俺とは関係なく使ってくるし、元がスライムだからなんだろうか?
関節とか関係ない感じで剣技だったり体技がくるから対処しきれない!!
致命傷はもらってないが、このままいくと時間切れは近い。
そう思っている矢先に上段斬りを短刀で受け止め堪えていたところに膝蹴りが飛んできたので、そちらも間一髪のところでガードしたんだけど、そっからが反則だった。
膝をガードしたと思ったら、膝から下の脚を切り離して俺に飛ばしてきた。
まさか、足が切り離されて飛んでくるとは思ってなかったから反応が遅れた。
切り離された脚は俺のアゴに思いっ切りヒットした。
一瞬意識がトんだ。足がフラついてる。
そんな無防備な状態の俺の腹に大衝撃が走る!!
風属性と火属性を纏った右拳が俺に放たれたのであった。
そう俺の切り札『纏魔二式』だ!!
『ドン』と圧縮された空気が暴発したかのごとく轟音をならし爆発し俺は吹っ飛ばされた。
ドゴンっと鈍い音をたて俺は神殿の壁に埋まった。
俺の意識は朦朧としていた。
コツコツと靴音を鳴らし俺の顔をしたモンスターが俺にトドメを刺しにやってきた。
そして俺の元に辿り着くと俺の顔をしたソイツは俺の首を片手で締め上げながら俺を持ち上げた。
「かはっ」息が出来ない。どうにか抜け出したいが、さきほど喰らった『纏魔二式』のせいで身体に力が入らない。
何とかしようと藻掻くが何も出来ない。
どんどん呼吸が出来なくなってきた。
クソォ俺と同じ顔をした奴に俺は殺されるのか、、、
そう思いながら薄れゆく意識の中で俺は俺を葬るヤツの顔を見た。
俺は驚いた。
俺を今まさに葬り去ろうとしている俺と同じ顔をしたモンスターが泣いている。
『狂乱の首輪』の効果で真っ赤になっている、その目から大量に涙を流している。
モンスターにそんなことが起きるのだろうか?
俺に擬態しているから、俺が今、泣いているのか?
いや、俺は今泣いてない。
では、この涙は俺の涙ではなく、このモンスターの涙!?
だとしたら、このモンスターはこんな事を望んでいない!
自分のためにも、このモンスターの為にも俺は今、死んではいけない!!
俺は両の手の平だけにありったけの魔力を籠めた。
「アイシクル」
俺は両の手の平に水属性の魔力を集め任意で温度をさげ絶対零度の手の平を創り出した。
いくら俺の身体をしてようと、さっきの蹴りでわかったけれど、相手はスライムだ。
スライムは水分で出来ている。
だったら凍る。
ピシピシピッシッ!!ガッガキン!!
俺の手の平からの冷気でミミックスライムの手首が凍り、そして砕けた!!
「はぁはぁ。抜け出せた。死ぬかと思った!!ミミックスライム!お前の悔しさは充分にわかった!俺がお前をあのガイコツの呪縛から解放してやる!!」
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