前のエピソード――第１１４話　切り札

さっきナニアは俺を助けようとして「爆血苦」を使った。

あのモンスターは初見にもかかわらず、全く同じ軌道で同じタイミングで技を放った。

そして、あの『狂乱の首輪』の効果なのかナニアよりも強い威力を出した。

やっかいだなコレは。

俺はそんなことを考えながら、ミミックスライムと対峙した。

すると今までナニアと瓜二つであったミミックスライムは一瞬のうちに俺と瓜二つの姿になった。

こりゃ凄いな！

素直に思ってしまった。

一瞬で俺になるとは。

行動はどうなんだ？

さっきのナニアの感じであれば俺の1.5～２倍くらいの力で返ってくるのか？

試しにやってみるか！

俺が右手を突き出し「ダークファイ！！」と唱えた。

すると即座というか同時にダークファイが飛んできた！！

俺のダークファイはミミックスライムのダークファイに飲み込まれ消滅したが、ミミックスライムのダークファイはそのまま俺に飛来した。

威力はやはり先ほどのナニアの時と同様でオリジナル（俺の魔法）より強い。

ん～つまりこれはこういうことか？

アイツはオリジナル＋自分の力を使っているからオリジナルより威力があるってことか？

だとしたら相当魔力があるのか？

というか無尽蔵にそんなことが出来るのか？

検証が必要だと考えた俺はそこから何度となく低級の魔法を放ったり、短刀で斬りつけたりして様子をみた。

そのこと如くを2倍近い威力で返してきた。

様子見で攻撃をしているからってこともあるけど、致命傷は俺にはない。

どうやら、このミミックスライムは俺がやった攻撃には反応するが追撃などは自分からは仕掛けてこないようだ。

どうやらここにコイツを倒すヒントがあるようだ。

そして、こういったシチュエーションをどこかで見たことがあった気がする。

あれはなんだ？

今世か？それとも前世の記憶か？何か見たことがある気が・・・

そんなことを考えていると、ナニアと交戦中のヘルスカラーから声が飛んできた。

「ふははは！そこの男よ！ミミックスライムの魔力切れを狙っているんであろうが、それは有り得ぬぞ！！ミミックスライムは、この（スベテヲクラウモノの）身体から魔力を吸って変換しておる。つまり、このスベテヲクラウモノが葬られない限り魔力切れを起こすことはない！さらに深追いしなければ安全と考えているんだろうが、それもない！我が創り出した『狂乱の首輪』がある！！ミミックスライムよ！目の前の男を殺せ！！」

ヘルスカラーの命令を受けた瞬間、俺の顔をしているミミックスライムの目が赤く光った。

そこからは俺が使う技や魔法に加え、俺の身体能力なら可能と考えられる剣技などで攻めてきた。

あれよあれよという間に俺はボロボロにされた。