腹いっぱい食べたら最強

第２８話 双竜の連撃

ピクリとも動かなくなったデスマンティーを見て５人の気が一瞬緩んだ時、活動停止していたデスマンティーの瞳が怪しく光り、それは呪いの絶叫として紡がれた！

『《《生贄の絶叫》》《サクリファイスカース》』

デスマンティーの体中に浮き出ていた顔たちがいっせいに断末魔のような絶叫をあげた！

『ダスゲテェェェェ』『ゴロジテェェェ』『イダイィィィィィィ』『クルジィィィィ』『ダレガァァァァァ』

それは一人ひとりからの懇願めいた呪いの咆哮（ハウル）であった。

そして、その効果は絶大でいくら虚を突かれたとはいえ５人は一時的な行動不能な状態の呪いにかかってしまい動けなくなってしまった！

そして、その一瞬をデスマンティーは逃さずにトドメの一撃を放ってきた！

『《《サクリファイスボム》》《生贄弾》』

その呪詛のような言葉が発せられた途端、デスマンティーに捕食され体表に表れていた顔たちが一斉に射出された！！

それは、呪いの邪気を無理矢理纏わされた人爆弾であった！！

『ギィヤァッァァァ』『ヤベテェェェェ』『ダスゲテェェェェ』といった声をあげながら爆弾と化したそれは５人に殺到した！！

しかし、その中でジャス、ルー、イーサの３人は何とか呪いを振り切り身体が動く状態になったが、逃げることはせず、ジャスとイーサはレイとピピンの前に立ち攻撃の盾となり、ルーはルーで自分がダメージを負いながらもなけなしの魔力でレイとピピンに被害が及ばぬようにウインドアーマーをかけていた。

結果として３人はサクリファイスボムに被弾し、ジャスは両腕を失い、イーサは両足を失い、ルーは顔に被弾したのか、目が見えないような状態になって倒れた。

勝利を確信したデスマンティーはトドメを刺すかの如く再度『サクリファイスボム』を放った！

絶体絶命の３人を前にレイは叫んだ！

「ヤメロー！やめてくれー！！」

そう言ってレイが縋るように懇願するように右手を前に突き出した時だった！

レイは自分から魔力がゴッソリと抜け出るのを感じた。

そして、目の前には極寒の吹雪が吹き荒れ、サクリファイスボムの無効化どころか、デスマンティーの動きまで凍らせ止めていた！

まるでそれはマンバドラゴンのアイスブレスの様であった！

そして、その瞬間レイには直感が働いた！

レイは自然とそうすることが最適であるとわかったように動き、ふところから『フンドシ煙』を取り出し纏い形状を鋭い棘の様な形に変化させた！

そして、その棘には途轍もない冷気が満ちていた！

そしてレイは叫んだ！

「ピピンやるぞ！！凍竜の連爪撃」

長年レイと一緒にいたピピンはそれが何かわからなかったが今が最初で最後の好機であることを直感で理解し準備していた！

ピピンは剣に火魔法で炎を纏わせそして叫んだ！

「肆の太刀　乱れ炎竜」

２人の渾身の一撃は合わさり合体技となった！！

「「双竜の連撃！！」」

氷と炎の相反する属性の竜がデスマンティーを喰らい、その耐久や回復を遥かに超え圧倒した！

今度こそ決着であった。

デスマンティーはかすかに息はあったが、もう何もできる状態ではないのは誰が見ても明らかであった。

そんな折にあたりに不思議な声が響いた！