【てんとれ祭り参加】アホ飴売りのまっちゃん

夢月みつき

第1話【てんとれ祭り/第45話使用】アホ飴売りの男

俺は、“アホ飴売り”の溜末松吉ためすえまつきち、通称、まっちゃん。三十二歳。アホ飴って何だって?

アホ飴っちゅーのはなぁ。金太郎飴のゴージャス版だよ。




金太郎飴は、同じ顔だろ。俺のアホ飴は、喜怒哀楽だけじゃねえ。

様々なアホ面が切っても、切っても現れる、って言うシロモノよ。

製造方法は、企業秘密だぜ。

しかも、とびきりの美味さ。どうだい買う気になっただろう?



俺は、アホ飴を車につんで、町に繰り出した。

町に着くと、契約をしている場所で、露店に飴を並べて売り始めた。

「アホ飴いかがっすか~、とびきり美味いっすよ。」



すると、一人の中年のサラリーマンが通りかかった。

「アホ飴ってなんだ?金太郎飴のような、形だが…」

俺は、喰いついたおっさんにアホ飴の宣伝と説明をした。



「そーいうワケで、試食もあるっすよ。お一つどうですか?」

サラリーマンは、切ってあるアホ飴を手に取り、口に入れた。

「ほう、アホ面の飴とは面白いし、それに美味い!いくらなんだ?」


「ありがとうございます。355円です。」

「やすいな!一つもらおう。それに…なんだか、不思議と、楽しい気分になって来た。悩みが、溶けるように消えていくように感じる」


「アホ飴の効果っすよ!まいどありー!」

サラリーマンは、俺からアホ飴を受け取ると、足取りも軽く帰って行った。



アホ飴は、アホのように悩みも、ストレスもなくなっていく飴…。

クックック…あのクソ真面目なサラリーマンも、アホにしてやったぜ。

「世の中、アホだらけにしてやる。俺の親父のように自殺しない為に」



そう決意を固めながら、俺はアホ飴を一つ口に含んで飴の顔を眺めた。

俺の親父が初めに作り始めた、アホ飴。よくみりゃ、俺の顔によく似ていた。

チッ、親父のヤロウ…俺の顔を飴にしやがって、塩水で飴が塩辛くなったじゃねえか。ばかやろうが!



俺は、手始めにこの町を絶対、アホだらけにしてやるからな。親父!

打倒、ストレス社会!!




【参考・引用/蜂蜜ひみつ様/てんとれないうらない/第45話アホ面ばかり 切っても出てくる アホ飴 よく見りゃあ 自分によく似てる 1点】



<了>



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最後までお読み頂いてありがとうございます。


主催の蜂蜜ひみつさんのお題作品が面白かったので、コメディぽく書こうとしたのに。こんなふうになってしまった。塩水で飴が塩辛いっす!


蜂蜜様、ありがとうございました。

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