第11話 対策会議
ラミーダに家を与えた。大きくもないが、小さくもない普通の家だ。
ラミーダは、ルリットに言い負けて、機嫌が悪かったが、家を与えたら、嘘のように元気になった。単純な奴だ。
とりあえず、ラミーダに家を与えるという約束は紆余曲折しながらも、達成されたので、俺は次の行動に移ることにした。
会議を開く。
色々あって、忘れそうになっていたが、魔皇帝の軍が、俺の領地に攻め込もうとしているのだ。緊急で会議を開いて、そのことを共有かつ対策を練らなくてはならない。ついでに、ラミーダがここに住むことになったことも伝えなければならない。
そう思い、俺は、領地の中でも武に秀でた者を集め、俺の館の会議室に集めた。
そこには、リーファス、キル、ルリットと面白がってついてきたラミーダがいた。
リーファスは、言わずもがな会議に必要ではあるが、キルとルリットも武力という面で見れば、この領でも指折りの実力者であるため、会議に参加してもらった。
他の人間はいない。基本的に、うちの領は争いとは無縁で発展してきたため、こういう話ができる人材が非常に少ないのだ。後は、そういう外敵が現れた際は、俺が一人で処理をしていたというのもある。
そのせいで、今回の会議は非常に少人数で行われることとなった。
会議は、このメンツにしては、驚くほど問題もなく進み、現在、魔皇帝の軍に攻め込まれようとしている事、ラミーダが戦力として頼りになるため、この領に住むことを納得してもらうことができた。
こうして、会議が進んでいく中で、それまで黙っていたラミーダが唐突に口を開いた。
「ねーねー、軍歌を決めない?士気が上がるでしょ?」
こいつが喋りはじめると、せっかく良い感じで進められていた会議が台無しになる気がする。ここで、この提案を断ることは簡単だ。しかし、そうしたとき、ラミーダは間違いなく拗ねる。拗ねたら、もっと面倒なことになって、会議が進行不能になる恐れがある。
まあ、軍歌くらいなら適当に話を合わせておけば、一人で勝手に作るだろう、と思い、とりあえず、ラミーダの提案を受け入れることにした。
「分かった。じゃあ、ラミーダ考えておいてくれ。後で、聞かせてもらって、良い感じだったら採用してもいい。」
「ちょっと、私一人で作るわけないじゃない。皆の軍歌なんだから、皆で作るに決まってるでしょ!」
また、面倒な提案をしてくれると思ったが、すでにラミーダは、軍歌を皆で作る方向で話を切り出した。
「じゃあ、まずザイズ!軍歌の一節を考えて、私たちに教えて!」
「…俺かよ。」
「当然でしょ、ザイズがこの軍のトップなんだから。かっこよくて、士気のあがる最初の一節をお願いね!」
まだ、やるとは言ってないんだが、ラミーダが期待を込めた目で見つめてくる。
ここで、変に断ってごねられても面倒だしな。適当に、手早く、軍歌を作ってしまう方が正解か。その軍歌を採用するかどうかは別として。
リーファスたちを見てみたら、俺の判断に任せるというように俺を見ている。
皆には申し訳ないが、とりあえずはラミーダのわがままに付き合ってもらおう。
そう思って、適当に軍歌の一節を考えはじめた。
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