花園眠莉

四百字の遺書

私の知り合いへ


 これを読んでいる人へ。私は芸術品になれたので後悔はしていません。芸術、特に美術を愛している私にとっての「死」とは一度しか表現出来ない最難関のテーマで完成された芸術です。美術で表してみても納得することが出来なかったので体現しました。ただ、それだけのことです。しかし私にとっては命がけの最高傑作です。まあ本当に命をかけました。笑い話にでもしてください。一つ私の名誉の為に言っておきますが自殺願望があったわけではありません。いじめられた経験も無いです。安心してください。先程、後悔は無いと言いましたが嘘でした。完成品を見ることが出来なかったのでそれは心残りです。ですから存分に私の分まで見ていってください。私は芸術の為に死んだので葬式は個展ですね。素敵な個展になることを願っています。芸術故に愛故に死んだ私の門出を祝ってください。


梅山 清歌


説明

綺麗な文字で彼女の死んだ理由を綴った遺書。これは清歌の机の上に置かれていたものだ。彼女は偶然知り合った菊という年配の女性の家に居候していた二十三歳女性。死因は車内で練炭自殺。発見されたのは半日後、場所は近くの浜辺に続く道の外れ。二十代の男性が発見。当時の様子をとても穏やかで幸せそうな表情を浮かべていたと語っている。菊さんは驚いていたがあの子が幸せならと微笑んでいた。

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