魔法少女☆ブレイク〜衝撃!魔法少女烈伝〜

トガクシ シノブ

魔法1〜粉砕!愛の魔法少女爆☆誕(前編)〜

「助けてくれえええええッ!!」


「きゃーーーーー!!!」


「うわあああああああああッ!」


逃げ惑う人々、『堕天使』を名乗る者たちが地上に住む人々を襲いはじめてから、1ヶ月が経過していた。


「ひゃはっはっハッハッハハハハハハ!!!下等な人間ども!さぁ逃げ惑え!恐怖しろ!堕天使カマセル様の偉大なる力の前に、ひれ伏すがいいいイイイイイッ!!…んっ?こんな所にチビガキがいるじゃないかあ〜。ん〜、まずは手始めに…、このか弱い小娘から血祭りに上げるとしよう」


堕天使カマセルは逃げ遅れた少女にゆっくり歩みよると、拳を振り上げた。


「ひっ!?助けて〜!ママ〜〜〜!!」


「誰か〜!娘を!娘を助けてくださーーーい!!」


「ひゃーはっはっはっハッハッハハハハハハ!!!いいね〜!最高だぜええエエエッ!もっとだあっ!もっと絶望しろ〜!愛する娘をここで失うという、更なる絶望をくれてやるぞおおおオオオオオ!!死ねぇえええエエエエエエイッ!!!」


容赦なく拳は少女に振り下ろされた。

その瞬間辺りに少女の母親の悲鳴と堕天使カマセルの邪悪な笑いがコダマする。

その場にいた誰もが己の無力さに絶望し、少女の命を守れなかったことを嘆いた。しかし…


「ふうー、間一髪だったね。お嬢ちゃん、…怪我はないかい?」


なんと堕天使カマセルの剛腕を1人の少女が受け止めていた。

そう!この世界にはまだ希望があったのだ!凶悪な堕天使軍団に立ち向かう者たちがいたのである!!


「な、なぁにいいいイイイイイッ!?この『自称堕天使界最強の剛腕』を誇るこのカマセル様の渾身の一撃を、細腕の小娘が受け止めているだとぉおおオオオオオッ!?」


「さあ、今のうちに早くママのとこにお行き」


「うん!お姉ちゃん、ありがとう!!」


そう言うと少女は母親の元に向かって走り出した。


「さ・て・と、やい堕天使!ま~た懲りずに悪さをしているみたいだね!このボクがいる限り、この町の人々の命を脅かすようなマネはさせないぞおっ!!」


そう叫ぶと少女は、堕天使カマセルを力任せにブン殴った。


「ぐっ!?うおおおオオオオオオッ!!」


堕天使カマセルはそのまま勢いよく吹き飛ぶも、空中で何とかバランスを取り直し、体勢を整えた。


「こ、この凄まじいパワあーッ!?ま、まさか!キサマが…いま堕天使界をざわつかせている魔法少女の………」


「ふ・ふ・ふ、ザッツライト!その通り!このボクがその噂の魔法少女!『愛天使ラブリアル☆マサミー』さあっ!!」


「お、お、おのれぇええエエエエエエッ!!このカマセル様は絶対無敵ダテンシオー!敗北なんぞ有り得んのだぁぁああああアアアアアアアアッ!!!!!」


そう叫びながら堕天使カマセルは、魔法少女を名乗る少女に向かい拳を構え、渾身の一撃をお見舞いするために特攻する。


「…来るか!覚悟しろッ!!」


少女は拳を前に構えると、迎撃の体制をとる。


「小娘!その小さな体をバラバラにぶっ壊してやるぜぇえええエエエエエイッ!!」


「…ぶっ壊すだって?ぶっ壊されるのは、お前の心(ハート)のほうだあッ!!喰らえ!堕天使愛殺(あいさつ)殲滅魔法!プリティカルラブハートォオオオオオオオ、ブレイカァアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」


膨大な愛の魔力がこもった渾身のラッシュが、堕天使カマセルに容赦なく繰り出される。その拳一撃一撃が必殺の威力であり、正に『無慈悲なる愛』そのモノだった。


「ぐほおぁぁアアアア!な、何という激しいラッシュなんだぁああアアアアア!!うッ!?ぐはアッ!は、反撃が出来んんんンンンンンッ!!!!!」


「ラブラブラブラブラブラブラブゥウウウウッ!…これがぁぁぁ、ボクの愛だぁぁあああああああああああっ!!ラブハートォッ!エクスプローーージョーーーン!!!!!」


(ドゴオオオオオオンッ!!!)


トドメの渾身の愛魔法(物理)の一撃が堕天使カマセルに炸裂した。


「う、うぎゃぁあああああああアアアアアアアアッ!!!!!バカな~このカマセル様がぁあアア、こんな、こんな小娘相手にぃぃぃィィィィィ!」


「さて、じゃあこのまま一気に『お仕置き部屋』に強制転送させてもらうよ!!堕天使愛縛(あいばく)強制転送魔法!ラブバインドォオオオ、ホーーームラァアアアン!!!!!」


少女がピンク色に輝く怪しい糸で堕天使カマセルを拘束したと同時に、空に謎の空間の穴が発生する。そして少女はそのあいた穴に目掛け、堕天使カマセルを拳で勢いよく打ち上げた。


「こ、小娘~お、覚えてろぉおおおおオオオオオ!!!」


堕天使カマセルはその穴に吸い込まれると、そのまま穴と共に姿を消した。そして辺りは大歓声に包まれる!


「魔法少女のお姉ちゃん、助けてくれてありがとー!!」


「娘を、大切な娘を助けて頂き、本当にありがとうございます!ああ、なんとお礼を言って良いか!ありがとうございます!本当に、本当にありがとうございます!!」


「いや~!お嬢ちゃん、大したもんだよ!!」


「お嬢ちゃんがいてくれれば、堕天使なんてもう怖くないな~!!」


「そんな~、ボクは当然のことをしたまでですよ~!愛あるところ魔法少女ありです!それでは皆さん、ごきげんよう~!!」


そう言い残すと少女は颯爽と走り去っていく。


「ママ~ワタシね、将来お姉ちゃんみたいなカッコいい魔法少女になりたいわ!」


「うふふ、そうね!…でもいったい何者なのかしらあの子…魔法少女、堕天使…いったい今この世界で、何が起こっているというの……?」




「ふぅ~、任務完了!よし、メタモリアルクロス・オフ!!」


そう少女が叫ぶと、辺りは眩しいピンクの光で包まれる。するとその中から筋骨粒々で長身の初老の男性と頭に輪っかを乗せ、羽の生えた少女が出てきた。


「エヘヘ、マサムネ~!今日も大活躍だったねえ~~~!やっぱりボクの見込み通りだったよお~!マサムネを魔法少女にスカウトして本当によかった~~~~~!!」


「そうかい?まあワシもやっとこの生活に慣れてきたところだよ、社長の座を息子に譲ってから、毎日筋トレするかたまに遊びに来る孫娘の『ユメちゃん』と遊ぶ以外、特にやることがなくてね。ちょうどそんな時だったよ、まさか『あんな事に』巻き込めるなんて…人生、何があるか本当に分からないものだね」


「うんうん、マサムネが活躍すればする程ボクの評価は上がるし、堕天使はいなくなるし、世の中は平和になるし、もう良いことづくしだねえ~♪」


「まぁこんなワシでも、まだ世のために貢献できるというなら喜んで力を貸すよ。…死んだ妻も…、『マナミ』もきっとそれを望んでいてくれているはずさ。…なぁラブリエル、この活動を通して、ワシは『真の愛』を知ることが本当に出来るのだろうか?」


「ん~?だいじょーぶだよマサムネ~!ま~とにかくさっ!今はボクを信じて一緒に堕天使狩り……堕天使をやっつけようよ~~~♪そんなことよりさ~!マサムネ~お腹空いたよ~!前にも言ったけど~、メタモリアルクロスするとね!もんのすご~~~くパワーを使ってしまうのよ~!!も~おうちまで待てそうにないよ~~~ふえぇぇぇ」


「ああっ、そうだったね…じゃあ今から外食でもするかい?」


「今から外食するー!!そしていっぱい食べるのだあーーーっ!!!きゃーマサムネ大好き~♪ラブラブ〜♡」


天使の少女ラブリエルは、嬉しそうにそう叫ぶと、マサムネの逞しい身体にしがみついた。


「フフ、孫がもう一人増えた気分だな…なぁマナミ、ワシはオマエのことを…家族のことを本当に愛しているんだよ。今も昔もそしてこれからも、この気持ちはずっと変わらない。…ただ不器用だっただけなんだ。信じてもらえないかも知れんがね……愛しているよ………」


「マサムネ~、さっきから何ブツブツ言ってるの~?」


「ええっ?あぁ何でもないさ!…じゃあ今からレストランにいくぞ!それダッシュ!!ダッシュだあぁぁぁぁっ!!!」


「きゃああああ♪いやーん!振り落とされちゃうよぉ~♪きゃーきゃー!!!」


謎の魔法少女の正体が、なんと初老の男性だった!?天使の少女ラブリエルの目的とは?そして堕天使とはいったい?

次回「粉砕!愛の魔法少女爆☆誕(後編)」につづく!!








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