興奮
侯爵夫人はすっかり興奮されているご様子で、口が止まらなくなりました。
「あなたが泣いて嫌がるなら、考えてあげなくもなかったというのに。何も言わずに本当に出て行ってしまうなんて!あなたがどうしてもしたいと言うから任せてあげた仕事まで最後までやり遂げずに放り出して家を出るなんて!あんまりだわ。本当にどうしてこんな駄目な子に育ってしまったのかしら?母にも弟にも妹にも優しく出来ない。助けもしない。そんな冷たい子は、わたくしの子どもではありませんことよ?」
私は長い話を聞きながら、侯爵夫人は旦那さまをどのように認識されているのかと気になっておりました。
父の前ではおとなしくされてきた方です。
どうして他家の当主の前でこれほどに騒げるのでしょう?
「聞いているの?何とか言いなさい、リーチェ!」
あまりに沢山の言葉を投げ掛けられた私は、返答に困ります。
最後の問いにだけ答えればいいでしょうか?
「侯爵夫人の仰る通りで構いません」
「離縁して戻って来ると言うのね?」
「そのお話にお返事したのではありません。旦那さまとは離縁しませんし、こちらにも戻りませんが。侯爵夫人の子どもでなくても結構と言ったのです」
侯爵夫人は真っ赤になりましたけれど、旦那さまのように可愛らしくは見えませんでした。
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