第10話 隊員全員でランチ

 どうしても気になりすぎたので、僕は恐る恐る尋ねた。

「あの……ところで二人とも、どうしてそんな奇抜な格好で歩いているの?」

「どこが奇抜なんだよ」

 リバー・グリフィン君がすぐさま反論してきた。自覚がないんだ?

「ごめん、聞き方が悪かったみたいだ。なんで隊長を肩車しているの? すごく目立っているよ」

 リバー・グリフィン君は気にしたふうもなく答えた。

「ジェシカとキースに遅れるから食事確保しとけ、っつわれたからよ。俺とクロウで食事確保するフォーメーションなんだよ、コレは」

 たぶん僕はとても変な顔をしたんだろう。僕を見た隊長が補足説明をしてくれた。

「私の平均身長は低い。混み合っている学生食堂では埋没してしまい危険だという理由と、食事確保に有用という理由でこのフォーメーションに落ち着いた。実際、このフォーメーションだと非常に楽に食事を確保出来る」

 ……そりゃあ、リバー・グリフィン君と隊長が肩車でタッグを組んでいたらみんな避けるよね。リバー・グリフィン君は見た目だけじゃなく実際も粗暴だし、隊長はよくわからないけど恐れられているらしいし、って思った。


 二人を話していたらジェシカ・エメラルドさんとキース・カールトン君がやってきて、結局チームのみんなで食べることになった。

 たぶん気を遣ってくれたのかなって思うけど、僕、ボッチでも気にしないから放置してくれても構わなかったんだよな……。誰かと一緒に食事をすることなんて滅多になかったので、ちょっと緊張する。


 ――って考えてたら、気付くと隊長が僕をじっと見ていた。

「君は、寮住まいだったな。両親はどこで何をしているのだ?」

「えっ」

 急にそんな話を振ってくる?

「……えーと、両親は北の方の区域で働いてます。通うには遠いので寮にしました」

 僕が答えると、すぐに質問が飛んできた。

「今までいた学園は?」

「…………ホークシティ学園ですけど、知ってます?」

「いや、知らない」

 でしょうね。

「ただ、私設学園だそうだな」

「え? あ、そうなんです」

 知らないって言ってなかったっけ?

「それで、どうして転校してきた?」

「えーと、両親のワガママです。どうしてもここに入れたかったらしくて」

 矢継ぎ早に聞いてくるなぁ。

「両親はなぜここに入れたがっていた?」

「え?」

 僕は固まってしまった。なんか……すごくプライベートを突っ込んでくるな……。

「…………えーと、ここの魔術科を受けて、僕が落ちて、くやしかったらしくて」

 ようやく答えたら、また質問が飛んできた。

「なぜそこまでこの学園にこだわった?」

 …………。

「……聞いたことはないんですけど、この学園がセントラルではトップの学園だからじゃないでしょうか? みなさんと一緒で、理由からですよ」

 と、僕は答える。

「ふむ。そういうものか」

 隊長が顎を撫でた。

「そういう隊長は、どうしてこの学園に?」

 僕が切り返すと、隊長はすぐに答えた。

「私の保護者のゴリ押しだ。設備などが充実しているという理由もあるらしいが、何よりここにはアンノウン討伐を専門に学ぶ【防衛特科】がある。私の魔術の性質上、普通科や魔術科に入るよりも防衛特科に入った方がいいという判断をされた」

 ははぁ。

 そういうことなのか……。

 正直、隊長の身体能力だと魔術特科に入れるのならそっちの方が良かったんじゃって思ったら、特異な魔術だからこっちに来たのか。

 ……でも、戦えるのかな?

「実際、成績は上位だぞ」

 僕の内心を見透かしたように答えられ、僕は慌ててうなずいた。

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