アシスト💙ラブ

はじめに

はじめに

　それはシンデレラのようなストーリーだった。

　舞台は2023年、ブエルタ・ア・エスパーニャ。

　ヨーロッパで行われる自転車プロロードレースの3大ステージレースの1つで、毎年スペインで行われている。

　その年の「ジロ・デ・イタリア」の総合優勝はプリモシュ・ログリッチ。「ツール・ド・フランス」はヨナス・ヴィンゲゴー。

　その2人の選手をダブルエースとしてブエルタに出場したチーム、ユンボヴィスマは優勝候補筆頭だった。

　しかし総合優勝したのはログリッチでもヴィンゲゴーでもなく、長年彼らををアシストし続けてきた山岳名アシスト選手、セップ・クスだった。

　人柄も良く実力がありながらも、いつもはスポットライトを浴びる事のない苦労人のアシスト選手の総合優勝を世界中の人々が讃えた。

　ユンボヴィスマは三大ツールを総ナメにしただけでなく、ブエルタの表彰台を独占。

　これ以上は無いような最高の結果を残した。

　しかし、このシンデレラのようなストーリーと最高の結果の裏にチーム崩壊の危機は無かったのか？

　色々と想像しているうちに、そんな物語を書いてみたくなった。

　※ここからの物語はフィクションであり、登場人物は実際の選手とは無関係です。