第16話王宮の美味しい食事も、礼儀作法の授業に早変わりして私はほとんど食べられませんでした。

剣聖を弾き飛ばして私はホッとしたのかそのまま気絶してしまった。


だからそれから何が起こったか良く知らなかった。

なんでも、両親が飛んできて、父は怒り狂って私を連れて帰るとか叫んで大変だったらしい。

それを母が抑えたみたいだったが……


アドは怪我していて全治1週間の診断を受けたらしい。

剣聖は全治2週間、責任を取って1週間の謹慎だそうだ。

怪我したリアーヌも執拗にメラニーに攻撃したとのことで、今回候補者を辞退で、1週間の謹慎処分になっていた。



しかし、翌日、一晩寝た私は元気いっぱいだった。体はどこも悪くない。元々私は治りも早いのだ。


「えっ、フラン様、大丈夫なんですか?」

メラニーが驚いて私に話しかけてきた。


「あんなの全然大丈夫よ。母の訓練のほうが大変だし」

私が平然と言うと、


「やっぱり、フランって化け物だったのね」

ピンク頭が言ってくれるんだけど。お前には言われたくないと思ったんだけど……

その横でこれまたグレースが私を目を見開いて見ていたし、絶対にその目は化け物だと言っていた。


「フランソワーズさん、本当にもう大丈夫なのですか?」

フェリシー先生も驚いて私を見ていた。


「はい、先生。私は頑丈な事が取り柄ですから」

私は元気よく答えていたのだ。


「フランソワーズ、大丈夫だったのですか?」

そこに王妃様が驚いて駆け込んできたんだけど……。

私はぎょっとした。何故王妃様が。それだけ私を心配してくれたんだろうか?


「はい。王妃様」

「そう、なら良かったわ」

王妃様はホッとしたみたいだった。


「でも、フランソワーズ。あなたは今後王妃になるのかもしれないのです。自分で危険を感じたら逃げないといけません。それが王妃というものなのです。本来あなたの盾となって止めなければいけなかったのに、何もせずに見ていただけの騎士たちは一から訓練をやり直させることにしました」

王妃様が言うんだけど、

「えっ、でも、騎士さん達は剣聖を前にしては止められなかったのでは」

「フランソワーズ。たとえそうでも、命を張るのが騎士です。騎士団長にはきつく指導するように命じました」

王妃様がきっとして言ってくれるんだけど……。まあ、確かに見た目は私は子供だけど、おそらく騎士さんたちよりも強いと思うんだけど……

「判りました」

まあ、それを言い出すときりがないからここは別のことを言おう。


「でも、王妃様。この国の王族はアドで、アドを残して私が逃げることは出来ませんでした」

「でもあなたは女で本来は守られるものではないですか」

「お言葉ですが、王妃様。私はこれでもルブランを背負っているのです。王族を守るのは当然のことだと。それが私達ルブランの使命だと私は言われています」

「えっ、テオドール達がそんな事を言ってくれているの?」

王妃様が感激してくれているけれど、いや、両親よりはおじいちゃんとかにそう言われていたんだけど……。両親はどちらかというと好きにやるタイプだから……

まあ、良いだろう、勝手な誤解をしてくれる分には。

王妃様は喜んで帰っていった。両親のために良いことをしたと思う。

うん、そう思うことにしよう。



「申し訳ありません。そんなフランソワーズ様。その様なお方を危険な目に合わせてしまって」

メラニーがまた頭を下げてくるんだけど、


「何言っているの。メラニー、それは最後は王族を逃すために私の力は使うかもしれないけれど、私の力はこのエルグラン王国の民を守るためにあるのよ。あなたはこの国の大切な民じゃない」

私は珍しくまともなことを言った。

メラニーが驚いた顔で私を見ている。

「悪役令嬢が正義の令嬢になっている……」

メラニーの言葉は小さくて私には良く聞こえなかった。



「えっ、じゃあ、あなたはいざという時は私を守ってくれるの」

ピンク頭が尻馬に乗って言ってくれるんだけど、


「当然そうよ」

本当はこいつには自分のことは自分で守れと言いたかったが、私は頷いてやった。


「でも、悪いことをしたら、私が剣に誓って成敗するから、そのつもりでね」

そう、こいつはどっちかというと釘を刺して置かねばならないと私は思ったのだ。


私は平然とそう言い切ってやったんだけど、なんかピンク頭が白けているんだけど。


そして、お昼休みになったのだ。


私はこの時がとても楽しみだった。


だって王宮の料理人が腕によりをかけて作ってくれた最高級の料理なのだ。


ルブラン領なんかに居たら絶対に食べられない料理だった。


今日はどんなフルコースなんだろう。


もう授業の終わる前から私はルンルンだったのだ。


侍女がやってきて私達はテーブルに案内されたんだげと、何故かその真ん前にフェリシー先生が仁王立ちしているんだけど。


私は不吉な予感がした。


「フランソワーズさん、ローズさん、何ですかその歩き方は、もう一度やり直しなさい」


ええええ!

ひょっとして食事の間も礼儀作法の授業をやるの……


私は唖然とした。


「姿勢を正して、つま先まで伸ばす。フランソワーズさん。それでは人形の動きです。もっと優雅に歩いて」

「えっ? 優雅にですか?」

私は確認した。

「そうです。あなたは人形の動きみたいにぎこちないです。もう一度です」

それを見てピンク頭が笑うんだけど。


「ローズさん。あなたは他人を笑う前に姿勢がなっていないです。もっと背筋伸ばして、やり直し」

私はそれを見て笑って、また先生に注意されてしまった……


でも、それからフェリシー先生の指導は延々続いて、結局私はほとんど食べられなかったんだけど……


これは話が違うじゃない!

私はフェリシー先生が怖いので、心のなかで盛大に文句を言ったのだ。

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さて、どうするフラン……


『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://kakuyomu.jp/works/16816927863351505814


が皆様の応援のお陰様で『次にくるライトノベル大賞2023』ノミネートされました。

https://tsugirano.jp/


なんと上から五番目に載っていました(あ行だから当然なんですが)

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