第14話ムカつく身長二倍の侯爵令嬢を一撃で吹っ飛ばして友人の仇を討ちました

訓練場に入ると驚いた事にアドが倒れていた。


「大丈夫ですか、殿下」

それにピンク頭達がかこつけてアドに群がっていた。

アドはピンク頭に膝枕されていた。そして、良く見たらピンク頭はその胸でアドの頭を抱いているんだけど……何故か私はその瞬間切れたんだど。


駆け寄りたかったが、それよりも何故アドが倒れているかだ。


ここまで一国の王子を痛めつけて良いのか?

私は思ったが、アドの向かいには平然と立っている剣聖がいた。


「あいつはクズだ」

なんかお父様の言っていた言葉が現実に蘇ってきたんだけど。


そして、その横にはその剣聖になにか話しているリアーヌが居た。

「では、授業を始める」

剣聖が宣言してくれたんだけど。アドは大丈夫なのか?


「最初にリアーヌとメラニー、前に出ろ」

アドのことなんてお構いなしに、剣聖が指名した。


でも、メラニーって商会の娘で剣なんて触れたことあるんだろとうか?

私は疑問に思った。


「私がですか」

メラニーも驚いたみたいだ。


「そうだ。これからは自分の身は自分で守らなければいけない。剣術も当然必要だ」

剣聖は当然のように言ってくれるが。王妃が剣を取らなければいけなくなったら終わりだろう。それに近衛はいらなくなるんじゃないのか? 

もっとも、私が王妃になったら自分から剣を持つと思うけれど……


「判りました」

模擬剣をメラニーが構えた。でも、その構えは想像通りどう見ても素人の構えだ。


「行くわよ」

リアーヌが剣を構えた。


そして、上段から振り下ろしてくれたんだけど、素人相手にそこまでやるか?


でも、メラニーは奇跡的に剣で受け止めていた。


「やるわね。じゃあこちらも本気で行くわ」

ニタリと笑うとリアーヌは剣を構えて、思いっきり打ち込んだのだ。


その打ち込みでメラニーの剣は弾き飛ばされて、二撃目でメラニーは脇腹にリアーヌの一撃を食らっていた。


はっきり言って12歳と6歳では骨格からして全然か違うのだ。叶う訳はなかった。

しかし、そこから怒涛の攻撃をリアーヌはメラニーに加えるんだけど。


見ていた騎士たちも騒ぎ出した。


私は剣聖が止めると思ったのだが、剣聖はニヤニヤ笑うだけだった。

これで私の心の中ではクズ剣聖の称号が決まった。

それをするリアーヌも……。


こういうクズは許せない。ムカついた私は剣を無造作にリアーヌに向けて投げたのだ。


「あっ、抜けてしまった」

くだらない言い訳をしながら。


その剣は跳ね返されると思った私の予想が外れて、ものの見事にリアーヌの横顔に直撃したのだった。


バシンッ


リアーヌは私の投げた剣で吹っ飛ばされたのだ。


ええええ! ひょっとしてこいつ剣の腕は大したことはない?



「ちょっと、何ししてくれるのよ」

文句を言おうとした剣聖を制してリアーヌは立ち上った。

完全にプッツン切れている。

そうそうそうでなくては……。

私は嬉しくなった。


「ちょっと剣が滑ってしまって」

私は笑って立ち上がった。全然悪いと思っていない表情でリアーヌを見下す。


訓練場で弱い者いじめをする卑怯な奴は私は許せなかった。


「借りるわよ」

そのあたりにいる騎士から模擬剣を無造作に借りるとリアーヌの前に無造作に立つ。


「おい、大丈夫なのかあの子は」

騎士は私の身を心配してくれたみたいだ。まあ、普通こんな小さい子を心配するよね。私は別格だけど……


「でも、ルブランのゴリラ女だぞ」

ムカつく事を言う奴もいる。


「あんな可愛い子が」

「魔の森から生還したんだ。実力はあるだろう」

「でも、あの侯爵令嬢は剣聖の一番弟子だそうだぞ」

外野はガヤガヤうるさかった。


でも、もうそんな事はどうでも良かった。

私は自分が友人にしようとしたメラニーを執拗に殴りつけたこの女を許さないと決めたのだ。


「あなた。良くも私の前で卑怯なことをしてくれたわね。公爵令嬢とて許さないわ」

リアーヌが言ってくれた。

「ふんっ、卑怯なのはそっちでしょ。ルブラン家の私の前で卑怯な弱い者いじめは許せないわ」

私は言い返した。そう、私は武のルブランの名を背負っているのだ。


「へええええ、その減らず口を私の前で叩くの? そう言うお前を今から私の前にはいつくばせてあげるわ」

「やれるものならやってみれば」

私は挑発した。


「いくわよ。クソガキ」

リアーヌは私に向かって駆け出してきた。

私も剣を構える。いつも騎士たちとやり合っているのだ。お父様には絶対に勝てないけれど、他とはいい勝負をするのだ。このリアーヌの実力しかと見せてもらおうと私は剣を横に向ける。


リアーヌは私を子供とも思わずに、渾身の力で剣を上段から叩きつけてきた。

でも、遅い!

私はその剣を一瞬で躱すや、リアーヌの腹に横薙ぎに一撃を浴びせてやったのだ。


ダンッ 


唖然としたリアーヌはその固まった顔のまま、私の剣に弾き飛ばされたのだった。

はるか彼方へ。フェンスに激突した。


皆それを唖然と見ていた。

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この物語のヒロイン達が学園生になった、書籍化された物語。

『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://kakuyomu.jp/works/16816927863351505814


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2000冊の中からノミネートされました。

https://tsugirano.jp/


あ行なので5番目に載っています。

単行門部門ベスト10目指して頑張るので

是非とも投票して頂けたら、とても嬉しいです!


下にリンク張っています。

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