小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……
第1話プロローグ 『魔の森の試練』で、大きな犬だと思ってフェンリルをペットにして帰ってきました
小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王だって怖くありません。でも、王妃様とマナーの先生は苦手かも……
古里@3巻発売『王子に婚約破棄されたので
第1話プロローグ 『魔の森の試練』で、大きな犬だと思ってフェンリルをペットにして帰ってきました
私の書籍『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』が『次にくるライトノベル大賞2023』https://tsugirano.jp/にエントリーされました。
その記念にヒロインのフランの小さい時の外伝作りました。
出来たら『つぎラノ』投票してもらえたら、嬉しいです!
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私の名前はフランソース・(確かソースの名前)ルブラン。
えっ、違う? 横にいた私のメイドのアリスに注意された。
フランソワーズ・ルブランだそうだ。
うーん、なんかややこしい、もうフランで良い。簡単だし……
ルブラン公爵家の一番上で、今は五才だ。
今日はお母様に言われて『魔の森』に来ているの。
魔の森は私の王国の国境に広がる魔物の王国で普通は人間は怖いので入らないそうだ。
お母様が言うにはルブラン家の子供は、5才になると『魔の森』で試練に合わないといけないのだとか。
「試練ってなあに?」
私がお母様に聞くと、
「まあ、冒険みたいなものね」
お母様は笑って言ってくれた。
「えっ、冒険なの。フランもご先祖様みたいに冒険ができるの?」
私は冒険と聞いてやる気になった。
そう、冒険は私がずっとやりたがっていたことだから。
このルブラン家のご先祖様も冒険が大好きで、彼は魔物をやっつけたり、ドラゴンを家来にしたりしていたらしい。
お父様はまだフランには早いからとなかなかやらせてくれなかったのに、ついに私も冒険デビューができるのだ。
私はウキウキモード全開で、お母様に連れられて『魔の森』にやってきた。
そんな私にお母様は、小さな魔導具を渡してくれた。
それはよく見ると矢印みたいなのがついている魔導具だった。
その先に数字がついていて100と出ていた。
「この矢印の先にフランの家があるから、その数字がゼロになるまで頑張って冒険するのよ」
お母様が笑顔で私を見てくれた。
「わかった。フランがんばる」
私はこの時はやる気満々だったのだ。
「お嬢様、本当に大丈夫ですか?」
お母様の横にいた女騎士たちはとても心配そうにしていた。
何故かいつもは止めるお父様もいないし、行くなら今だ。
「うん、大丈夫だから」
そう言って皆に手を振ると、腰に私の宝物のエクちゃんを差して、料理長からもらった食べ物とか飲み物を入れたリュックを背負って、私はピクニック気分で歩き出したのだ。
いつも私を邪魔するお父様やその部下の騎士たちもいなくて、絶好の冒険日和だと私はうれしくて歩きだしたのだ。
ゴールのわが家がはるか遠く、100キロも先にあるなんてその時は知りもしなかったのだ。
歩きだしてすぐにイノシシ型の魔物が飛び出してきた。
「とりゃーー」
私はエクちゃんで殴りとばしていた。
「うーん、一匹目ゲットだぜ」
自分でもよくわからない言葉を言いながら私は絶好調だった。
1時間位歩いただろうか。
魔物はたくさんいて、私を子供だと思ったのか次々に飛びかかってきたが、全てエクちゃんで張り倒していた。
でも、矢印を見てもメーターは全然減っていない。96って何だ?
まだ残り96もあるってこと?
まあ、いいか!
私はいい加減に疲れてきたので、休むことにした。
リックの中の紙袋をあけるとなんと、大好きなケーキが入っていた。
「ケーキだ、やったー」
私はうれしくなった。うちは貧乏なので中々ケーキにはありつけないのだ。
むしゃむしゃ食べていると
「ギャオーーーー」
いきなり大きな魔物が襲ってきたのだ。
私は思わず立ち上がってケーキを落としてしまったのだ。
「ギャーーーー」
せっかくのケーキが……
それも落とした私のケーキを、魔物がふんづけたのだ。
「何すんのよ!」
私はプッツンと切れていた。
次の瞬間、私の手からは閃光が飛び出してあっという間に魔物は消え去ったのだ。
魔物はやっつけたけど、私のケーキが……
私はむちゃくちゃ悲しかった。
やけくそになった私は、それからも、矢印の方にドンドン歩いていった。
でも、歩けど歩けど着かない。数字はまだ90なんだけど……
私はお母様にはめられたと思った。
お母様はいつもこうだ。
この前も「ケーキをここに置いてきたから取ってきなさい」
と言ってこの矢印の機械を渡してくれたのだ。
でも、そのケーキのある場所はとても遠くて次の日に私が着いた時には魔物に食べられた後だった。
お腹いっぱいで寝ていた魔物たちは怒った私がやっつけたけど、食べられたケーキは返ってこなかったのだ。
今回も、食べ物はケーキしか入っていなくてお腹の減った私はそのあたりの食べられそうな草木を食べながら進んだのだ。
庭師のじーちゃんに食べられそうな草木の見分け方は聞いていたし、多分あっていたと思う。
とちゅうでお腹が少し痛くなったけれど、大丈夫なはずだ……
そんな時だ。目の前に大きな犬が現れたのだ。
それは大きな岩ほどもある犬だった。
私よりも遥かに大きい。『魔の森』では犬まで大きくなるみたい。
「うーーーー」
ワンちゃんは私を睨みつけて唸りだしたのだ。
庭師のじーちゃんは犬をしつけるには逃げたら駄目だと言っていたなと私は思い出した。
そして、私もワンちゃんを真似て
「うーーーーー」
と唸りだしたのだ。
でも、次にワンちゃんは大きな口を開けて私を食べようと襲いかかろうとしたのだ。
でも、私の口はあそこまで大きくない。これでは負けるではないか。
こうなったら最後の手段だ。
私はおやゆびをつき出して思いっきり
「めっ」
と言ってやったのだ。
これで私に噛みついてきた犬はいない。
ワンちゃんは最初は抵抗してきたが、私がにらみつけるのをやめないと、ついに首をたれて
私の前に頭を差し出したのだ。
「よいこ、よいこ」
私がなでると
「クーン」
と鳴いてくれた。
その日の夜は私はそのワンちゃんを抱きまくらにして眠った。
とても暖くて寝やすかった。
途中でうなりごえが聞こえたようなきがしたが、
「うるさい」
ってさけんで叩いたら静かになった。
翌朝ワンちゃんをみたら頭に大きなたんこぶこしらえていたんだけど、どうしたんだろう?
次の日は冒険もいい加減に疲れてきたので、ワンちゃんに乗せてもらうことにした。
私を乗せたワンちゃんはとても早かった。
あれよあれよという間に家のお城が見えてきたのだ。
「おい、フェンリルがこちらに向かってくるぞ」
「魔の森の主が何故襲ってくる?」
「直ちにお館様に連絡を」
「お館様は外だ」
「騎士達の大半が出払っているぞ」
「奥様に連絡だ」
なんかお城の騎士たちが大騒ぎしているんだけど。
フェンリルって何だろう? この犬の種類なんだろうか?
「おい、フェンリルの上に誰か乗っているぞ」
「嘘をつくな」
「本当だって」
「何処だよ」
「ほら、背中に」
「本当だ」
「いや、でも小さくないか?」
「子供だぞ」
「まさか、フェンリルが人を攫ったのか」
「いや、あの子はこちらに手を振っているぞ」
「フランお嬢様だ」
「うそ、お嬢様がフェンリルを手懐けられたのか……」
私は大騒ぎしている騎士達の目の前でフェンリルから飛び降りた。
私を迎えてくれた騎士達は驚きの目で私を見ていた。
「皆、迎えてくれてありがとう。料理長はいる? お腹が減ったんだけど、なんでもいいから食べたい。それでこのワンちゃんにも何かあげて」
私の言葉に皆呆れて声も出せないみたいだけど、なんでだろう?
後でお母様に「野生のフェンリルに乗ってきてはいけません」って怒られたけど、疲れたから仕方がないじゃない。
ワンちゃんに乗ってはいけないって始めに言わなかったくせに!
本当にお母様はわがままだ。
「フラン様。出来ましたよ」
料理長は私の目の前に大好きなハンバーグをだしてくれた。
「ありがとう」
私はお礼を言うとフォークをハンバーグにつきさしたのだ。
ま、お犬さんとともだちになれたし、良しとしよう!
「いただきます」
私は大喜びで料理長の作ってくれたピーマンいっぱいのハンバーグにかじりついていたのだ。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話は以前私の書籍『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』
https://kakuyomu.jp/works/16816927863351505814
に閑話で乗せていた分をリメークしたものです。
ここから少し視点も変えてどんどん書いていくつもりです。
ブックマーク等よろしくお願いします。
『つぎラノ』よろしくお願いします!
https://tsugirano.jp/
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