第18話 助けられましたわ

 エドモンドとの突然の再会は、心に深い傷を残しましたが、リディアの言葉はその痛みを一層深くしました。彼女の可愛らしさと自信にあふれる態度は、私にとっては辛い鏡でした。アメリア嬢とは異なる彼女の魅力が、エドモンドを惹きつけていったことを知り、その事実に心がざわつきました。


 リディアの言葉は刃のように私を切り裂きました。


「話は色々と聞いているんですよ! 捨てられて可哀想に、この名家に拾われたって」


 その言葉は、私の尊厳を踏みにじるものでしたが、私は何も言い返せませんでした。

 彼女の明るさと自信の前に、自分が強くなったと思っていたのに、それが崩れ去り、言葉を失いました。


 そんな時、奥からアレク様の声が響きました。彼が私の隣に立つ。


「何を話しているんだ?」


 冷たく、しかし怒りを含んだ声で尋ねました。


 アレク様の存在は、突如として私に力を与えました。彼の姿勢は、私を守るかのように堂々としていました。

 彼の言葉は、リディアの挑発には屈しないという強い意志を私に感じさせました。


 私はその場で深く頭を下げ、


「申し訳ありません、アレク様」


 謝罪しました。しかしアレク様の視線は、冷静で、リディアに向けられていました。

 それは、彼女の振る舞いがアレク様の基準に適っていないことを示しているようでした。


 アレク様の姿がエドモンドの視界に入ると、彼は明らかに動揺を隠せませんでした。アレク様は通常の冷静さを保ちつつ、エドモンドの驚きを受け流すかのように立っていました。


 リディアは鼻で笑い、アレク様に向かう。



「久しぶりね、アレク」


 軽やかに言いました。その態度からは、二人の間には以前から何らかの知り合いであることをうかがわせる親しさが感じられました。


 私はそのやりとりに戸惑いを隠せず、彼らの関係性がどういうものなのか、急に知りたくなりました。

 アレク様のため息が、この状況に対する苛立ちを示しているようで、リディアの挑発的な態度に対する呆れが見て取れました。


 リディアの言葉。


「あなたのその顔、やっぱり好きね」


 過去に何かがあったことを示唆するものがありました。その言葉は、単なる軽口ではなく、以前の何かしらの深い関係を思わせるものでした。


 私の心は揺れ動きました。


 彼らの過去がどうであれ、現在の私の立場は明確でした。

 しかし、アレク様とリディアの関係についての興味は、私の過去と好奇心の間で葛藤を引き起こしました。私は、これ以上彼らの過去に心を奪われることなく、目の前の仕事に集中することを決心しました。

 それでも、私の心の隅には疑問が残り、彼らの会話に耳を傾けずにはいられませんでした。


 この瞬間、私はアレク様の支えがいかに大きいかを再認識し、自分がこの屋敷で働く意味と、アレク様への忠誠心を改めて感じ取ることができました。


 そして、たとえ辛い再会であっても、私はこの屋敷とアレク様と共に前を向いて歩んでいくことを決心しました。

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