第83話 秘密のコスプレショー

「(そうだ! 僕は期末テストが終わった後ななちゃんの家に遊びに行ったら、突然コスプレショーが始まったんだった!?)」



 ななちゃんがVTuberをしている事も驚いたけど、それ以上にコスプレが好きだったことにも驚いた。

 しかも予想外に露出が激しい服を着ていたので、思わず目を逸らしてしまった。



「(いきなりコスプレ衣装を着て登場しただけでも驚かされたのに、あんな露出が激しい姿で現れるなんて思わなかった」



 今僕の目の前には青いチャイナ服を着たななちゃんがいる。その顔は真っ赤に火照っており、僕のお腹の付近にまたがり真っすぐな目で僕のことを見ている。



「(ななちゃんが僕に見せたかったものってこれだったのか)」



 てっきりボケモンのカード開封をすると思っていたら、予想を上回るものを見せられた気がする。

 あまりの可愛さに僕はななちゃんのコスプレ姿に釘付けとなっていた。



「ななちゃんってこういう趣味があったんだ」


「幻滅した?」


「幻滅なんてしないよ!? むしろこういう意外な一面も見れて、僕としては凄く嬉しい」


「本当?」


「本当だよ。今着ているそのチャイナ服もすごく似合ってる。普段の格好も可愛いけど、僕はその格好の方が好みかもしれない」



 彼女の綺麗な脚線美も見えて、僕としては役得である。

 それに僕はチャイナ服を着ている女の子が好きなので、今のななちゃんの姿は自分の性癖にドはまりしていた。



「やった! 琴音さんが『斗真はチャイナ服を着ている女の子が好きだから、コスプレをするならそれを着た方がいい』って言ってたけど、あれは本当だったんだ!」


「えっ!? 姉さんがそんなこと言ってたの!?」


「うん。もしコスプレを披露するなら、その線で攻めた方がいいって言ってたよ」


「姉さん‥‥‥」



 僕が知らない所で、なんてことをななちゃんに教えてるんだよ。

 余計な事ばかり教えて。もし僕がななちゃんに手を出してたらどうするつもりだったんだ?



「話は変わるんだけど、斗真君はコミフェスってイベントは知ってる?」


「うん。確かお盆と年末に行われる世界最大級の同人イベントだよね?」


「正解! 斗真君は物知りだね!」


「僕だってアニメやゲームが好きなんだから、それぐらいの知識はあるよ」



 その場所に行ったことはないけど、毎年大勢の人達でにぎわうお祭りだという事は知っている。

 僕も1度は行ってみたいと思っていたけど、たまたまSNSで見た人込みの多さに恐れおののいてしまい行くのを躊躇していた。



「そしたらそのイベントでコスプレが出来ることも知ってるよね?」


「もちろん知ってるよ。毎年多くのコスプレイヤーさんが参加してるよね」


「うん! そこで相談なんだけど、実は今年の夏あたしもそこでコスプレをしてみようと思ってるんだ」


「ななちゃんがコミフェスでコスプレをするの!?」


「うん。やっぱりあたしみたいなにわかが出るのはまずいかな?」


「全然まずくないよ!? むしろコスプレをすることが好きなら、そういうイベントに参加するのはいい事だと思う」


「よかった。そしたら斗真君もそのイベントに一緒に来てくれない?」


「僕も行くの!?」


「うん! 初めてコミフェスに参加するから、1人だと心細いの。でも斗真君が一緒にいてくれたら心強いから、あたしと一緒に来てもらえないかな?」



 コミフェスか。あの人込みの中に飛び込まないといけないのかと思うとちょっとだけ憂鬱になる。



「(でもななちゃんから一緒に行ってほしいと頼まれると、どうしても断り辛いんだよな)」



 ただでさえあの場所は女の子が1人で行くのには勇気がいる場所だと思う。

 女の子を狙ってナンパをする人達もいるという話も聞くので、ななちゃんがそういう被害に遭わない為にも僕が一緒に行くべきだろう。



「わかった。そのイベント、僕も一緒に行くよ」


「本当!?」


「うん。仕事の日程を調整して、2人で行こう」


「ありがとう! 斗真君!」



 僕はななちゃんが喜んでいる表情が好きだ。彼女には出来るだけ悲しい顔はしてほしくない。

 そのためだったら僕は何だってする。ななちゃんの喜んでいる姿を見て、改めてそう決意した。



「そういえばまだ答えを聞いてなかったけど、バニーガールとクレオパトラ、斗真君はどっちの衣装を着てほしい?」


「まだその質問をぶり返すの!?」


「そうだよ! 斗真君の為に着てるんだから、好きな方を選んで」


「好きな方を選んでと言われても、どっちの服装も魅力的だから困るよ」



 どっちの服を選んだとしても、ななちゃんが着れば可愛くなるだろう。

 だからどっちにしろと言われても僕には選ぶことが出来ない。

 しいていえば、ななちゃんが好きな方を着てほしいと思っている。



「斗真君って優柔不断だね」


「だってどっちの服を着てもななちゃんが可愛い事に変わりはないから選べないよ」


「斗真君はあたしのことが可愛いと思ってるの?」


「うん、そうだよ。今まで会った女性の中で、1番ななちゃんが可愛いと思ってる」



 あれ? どうしたんだろう。急にななちゃんが黙ってしまった。

 しかも体がプルプルと震えている。もしかして僕は彼女を怒らすようなことを言ってしまったのかな?



「わかった。そういうことなら、両方の服を着る!」


「えっ!? バニーガールとクレオパトラ、両方の服を着るの!?」


「うん! 最初はバニーガールを着てくるから、ちょっと待ってて」


「もしかして今から着替えに行くの!?」


「そうだよ。せっかくだから今日は色々なあたしを見て楽しんでね♡」



 そういうとななちゃんは僕から離れて、部屋から出て行ってしまう。

 それからしばらくするとバニーガールの衣装を着たななちゃんが部屋に戻ってきて、再びコスプレショーが始まった。


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ここまでご覧いただきありがとうございます。

続きは明日の7時に投稿しますので、よろしくお願いします。


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