11.努力をして貴方になりたい天秤座




「こんな時代で子供を産みたいと思う方がおかしい」

 本を読んでからずっとそんなことを考えていた

 本を読んでからというか、ずっと見ないようにしていたような

 ずっと確認しないようにしていたことのような


 貴方は私の虎のタトゥー

 愛していると伝えたくて

 ああ、私は、あの6人を愛したのだと




 甘いものが喉を通らなくなった

 大して暑くもないのに暑く感じて

 今までの恋愛遍歴を思い出した

 全て「私が女だから」の結果

 その結果のなれの果て


 もし私が男だったら

 私の心が男だったら


 彼らは変わらず私を抱けたのか

 私は彼らを抱いたのか


 慣れない哲学的思考

 楽しかった




 バカのふりをして生きていた気がした

 テレ ビに映った仲良し夫婦

 今までは嫉妬の対象 冗談での嫉妬

本当は羨ましかった?


  初恋の人を思い出してやめた

     あの感情が愛なのなら

どうして隠さなければいけないのかと


 なんでなん




 本で殴った感触を思い出す

 糞分厚い辞典

 本には載っていないような経験を

 本に載せられるような経験をしたかったのかな


 この私達の思考を夏の魔物だとかいうアホな言葉で例えられるのなら

 例えて貰えるのなら

 覚えててくれるのなら

 私が本に載れるとしたら

 メイクしなきゃな




 例のナンパ手紙キモ男から話しかけられた。


「手紙でしか伝えられなくてごめん」

「最初からこうすればよかった」


 よく見たら顔がタイプだった。

 単純脳な私は彼とデートしようかと思ったけどやめた。

 踊れなくなったから。


「寒いから風邪に気をつけてね」

 私はこう答えた。

「貴方も風邪に気をつけて」


 今これを読んでいる貴方も。

 ここまで読んでくれてありがとう。

 もう春が近いけど、まだ冷えるから風邪に気をつけて。

 愛してるよ。さようなら。




 見栄を張るのはやめた。

 帝王と名乗るのもやめた。

 一人の人間として生きるために。


 資金のために売った。

 何もかも。

 私を形成するもの何もかも売った。

 残ったのは私の身。

 コンプレックスだらけのこの身だけだった。


 私が出した資金。みんなはそれを大切にしてくれた。

 まるで私のように。

 恐れずに扱ってくれた。

 子供のように甘やかしてくれた。


 私ずっと甘やかされたかったのかな。




 家に帰った。

 みんなビビり散らかしてアホおもろくて。

 私がやること言うたらみんなビビって止めて。

 アホおもろかったけど、全部話したら認めてくれて。

 最初から話しゃよかったんかね思て。

 何年無駄にした?とか考えたら笑えてきたけど、それも運命なんか思て。

 やったら別にええか、思て。



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