10.SKIT:Dear Lupus.



「Make It Clapは歌詞に入れさせて?」

「ダメに決まってる」

「なんで!!」

「意味を調べた子供達の親の気持ちを考えて」

「先進教育や!!」

「何が先進教育や何が!!」

「比喩やろがい!!」

「比喩を比喩やと分からんアホがおるから言うとんのや!!」

「なんや!自己紹介か!!」


 喧嘩する少女と許嫁の兄。


「悪魔ちゃん、衣装はどこまで決めたっけ?」

「長袖で、この腰辺りのラインが出るやつ」

「それだと脚長く見えるかな…」

「見えますよ、5メートルくらい」

「それは言いすぎだよ…」

「言いすぎじゃないよ…ねえ、この服は流石に露出しすぎかな…ベクさんは良いって言ってくれたけど…」

「僕も良いと思うよ?ほら、こういう上着を羽織れば目立たないし」

「確かにそうだね…あ、これベクさんに似合いそう…」

「兄さんの話ばっかり」

「あ……ふふ…」


 雑誌を開きながら仲良く相談する許嫁と悪魔。


「曲は結局どうするんでしたっけ?」

 顔を上げ、胸倉を掴み合っている二人にそう尋ねる悪魔。

「あー…それでも揉めてて…ヒップホップってのは決まったけどジャンルをどうしようかって…この人は卑猥なワード歌詞に入れるって聞かないし」

「ハニーらしいね」

 微笑む許嫁。

「曲なら作ったから聞いて」

 パソコンを取り出す少女。


「いつの間に…?」

「昨日夜なべして作った」

「だからそんなピリピリしてんのか」

「それはあんたがいるからや!」

「いちいち喧嘩しないの」

 仲裁する悪魔の頭を撫で回してから音楽を再生する少女。

「…あ、これ聞いたことある…」

 少女に乱された髪を整えてから悪魔がそう言った。

「クラシックの名曲をサンプリングしたからね、こうすることで私達の意思が伝わるかなって」

「……くそ、いいなそれ…」

「…あ、お兄さん!歌詞!Kiss My Assは良いんじゃない?」

「論外」

「なんで!!!!」

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