ボクのおかあさん

@mariruby0717tagosei

第1話

ボクはチャオ。

1歳半くらいの茶トラの男の子。

元野良猫だったボクを、我が子としておかあさんが育ててくれてるんだ。

おかあさんは大学病院の精神科っていうところに、2週間に1回通院してる。

おかあさんは重度のうつ病なんだって。

だから人前にはほとんど出られない。

でもボクたちとは普通に接してくれるよ。

笑ってくれる。

ボクだけじゃなく、家に来る野良猫さんたちの去勢や避妊手術をして大切にしてる。

でもね、子供はボクだけなんだよ!

おかあさんは猫のことばが分かるんだ。

ボクたちが何を言いたいか、何をしたいか全部分かってくれる。

ボクの他にも今まで数えきれないほどの子供を育ててきた。長生きの先輩は、25歳23歳19歳っていっぱいいる。

その都度虹の橋へ見送ってきたんだ。

人はおかあさんのこと、おかしいって言うけど、ちっともおかしくないよ。

ボクはおかあさんが大好き。おかあさんもボクが大好き。

他の猫たちもおかあさんが大好きだよ。

ボクがお外で遊んで帰りが遅くなると呼びに来てくれる。

「チャオー!!」ってね。

ボクも大声でお返事すればいい!

「おかあさん、ボクここにいるよ!!」って。

たまに他の猫が親子でいるのを見ると、

ちょっぴり寂しい。

そんな時、おかあさんはボクのことぎゅうって抱きしめてくれる。

おかあさんは自分がご飯食べられなくてもボクらには食べさせてくれる。

いっぱいお話もしてくれる。

いっぱいボクの話も聞いてくれる。

その日あったこと、楽しかったことも怖かったことも全部。

眠る時はおかあさんのお布団で1つの枕で眠るんだ。

夜中に目が覚めても、おかあさんがいるとホッとしてまた眠りにつくことができる。

初めはボクもおかあさんから逃げていた。

人が怖かった。

何をされるかと、ただただ恐怖でしかなかった。

でもおかあさんは逃げるボクに優しくごはんをくれた。

だんだん距離が縮まり、この人なら信じられるって思ったんだ。

でもボクもいつかおかあさんと離れて虹の橋を渡るんだろうか…

嫌だな…

ずっとおかあさんと一緒にいたい!

春も夏も秋も冬もどんな季節もお母さんと一緒に生きていたい!

おかあさんと過ごす一瞬一瞬が、かけがえのない時間なんだ。

きっとおかあさんの前世は猫だったんだ!

人を信じて裏切られて傷ついて昔のボクらとおんなじ。

おかあさんはものすごくボクらに優しい。

どうして?っていうほどボクらに優しい。

おかあさんは教えてくれた。人間の手はボクらを叩くものじゃなく撫でるものなんだって。

おかあさんに出逢うまでは人間が怖かった。

今でもおかあさん以外は怖いよ。

幸せって何気ない毎日なんだとおかあさんに教えてもらった気がする。

ボク、おかあさんと生きていて、ものすごく幸せだもの。

ボクはおかあさんがいないと生きていけない。

おかあさんもボクがいないと生きていけない。

人によっては勝手な時だけ可愛がる人がいるらしいけど、ボクらは面倒みてもらわなきゃ生きていけない。

スーパーにもコンビニにも行けない。

ウーバーイーツも頼めない。

水を出すことすらできない。

おかあさんは人が怖い。

ボクらも人が怖い。

いっしょなんだ。

ボクが風邪をひいて熱を出した時も寝ないで看病してくれた。

おかあさんはボクらに無償の愛情を注いでくれる。

震えるほどの愛を注いでくれる。

命懸けでボクらを守ってくれる。

おかあさんに出逢えてボク幸せだよ。

おかあさんも幸せだって言ってくれる。

ボクらはずうっと一緒なんだ。

あっ、おかあさんがボクのこと探してる!

大声でお返事しなきゃ!

「おかあさん、ボクここにいるよ!!」

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