6周目

7月21日


 嫌な夢を見た。

 親友と二人で彼氏を待っていると、突如大きな黒い車が目の前に止まった。そこから複数の覆面の男たちが出てきて、無理矢理車に乗せられた。それからのことは思い出したくもない。

 朝起きてから体に力が入らなかったので、今日は一日中寝込んだ。最悪な夏休みの始まりだ。


8月5日


 親友からのキャンプの誘いを断った。

 気分が乗らなかった。もしかすると、まだ体調が悪いのかもしれない。

 夏風邪は長いというが、本当なのだろう。


8月10日


 親友からの夏祭りの誘いも断った。体調は一向に治る気配がなかった。


8月18日


 親友と二人で遊園地に行った。今日は体調が良かった。

待ち時間はひたすら親友の惚気話に付き合わされた。うっとうしかった。

「彼氏の家とかで遊んだりするの」と聞いたら、21日から彼氏の家に泊まるらしい。親友の話をずっと聞いていたら、体調が悪くなった。気分が悪い中、楽しそうに話す親友に怒りが湧いた。あの場で怒りを爆発させなかった自分を褒めてやりたい。


8月20日


 家族旅行だったが、体調が悪いため家で休むことにした。

旅行のキャンセルはもったいないので、久々の夫婦旅行を楽しんでもらうことにした。

 一日中、部屋のベッドでゴロゴロしていた。


8月21日


 体調は一向に治る気配がない。

 家には誰もいなかったので、親友に看病してもらおうと連絡した。

怒られた。「自分に彼氏がいないからって、私の青春を邪魔しないで」って言われた。

 辛かった。こんなに苦しい思いをしているのに、なんでそんなことを言うのだろう。


8月25日

 

 親友が、彼氏の家から帰宅途中に行方不明になったらしい。

 今日も一日、私は何もできなかった。


8月29日


 親友が死体で発見されたと報告を受けた。

 彼女に対して不満だらけだったのに、涙がたくさん溢れてきた。


8月30日


 親友の葬式に参列した。

 多くの人が涙を浮かべていた。

 その中には親友の彼氏もいた。彼も辛そうに泣いていた。

 嘘泣きだと思うととても悲しくなった。なんで親友はあんな奴を好きになったのだろうか。

 静かな葬式に流れてくるセミの声がとてもうるさかった。

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