誠愛を前世に

関ケ原 しらす

第1話、お香の記憶覚まし

 前世は、本当にあるのだろうか?

 そんなことを考えながら、女子高生のすずはぼんやりと登校をしていた。「鈴、朝からボーっとしてるけど何かあったか?」急に声を掛けられ、鈴は驚きつつ声のほうに視線を向けた。

 人目を惹くような目鼻。スラッとした高い背。彼は鈴の兄、れんだ。

 忙しい両親に代わって、鈴の面倒を見てくれる優しい兄だ。

 鈴はすぐに笑いながら「大丈夫だよ。」と蓮を安心させた。蓮は納得しきれなさそうな様子だったが「そうか」とだけ言った。鈴は、そんな蓮に苦笑しつつ目線を前に向けると、甘い惹かれるような香りが身体に包まれると共に「うっ…」と鈴は少し呻き、その場にうずくまった。蓮は顔色を変え「鈴、大丈夫か⁈」と鈴の背中をさすった。

 鈴は意識が遠のく中、目の前に月光の下に優しく笑うが写った。鈴は「悲しく」もあり、「嬉しく」「懐かし」く思った。

更に香りは濃くなり、鈴は意識が途切れた。



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