ラブコメ原作の知らない悪役(?)は周囲を避けることで、ヒロインを病ませていた件
九条 夏孤 🐧
中学校生活を送ってみる。
最低な悪役
結論から言うと、俺は転生した。
名前は
それも、異世界のようなファンタジーな舞台ではなく、転生前と同じ現実世界にだ。
死因は多分、不注意による階段からの転落死。
成人になり、浮かれた拍子に酒を飲みすぎたのが原因だろう。
また、なぜ俺が転生したと気づいたのか?
それは中学3年生のあるに、前世の記憶を取り戻すことができたからだ。
ちなみに内容は喧嘩によるもの。
もちろん、元凶は俺だった。
なにせ、路上で違う中学の奴にガンを飛ばしてしまったせいで、強そうなお兄ちゃんを召喚されてしまったのだ。
そして、年上のお兄ちゃんと喧嘩になった。
聞いているに 中三VS高校二 学年の違いでこっちが不利に見えるだろう。
………もちろん俺は負けた。
俺も一応抵抗したが、すぐにノックアウト。
一応、学年の中では体力測定の上位三番手ぐらいだった。
筋肉が発達しているのか体が大きく、身長もそこそこ高かった。
だから同じ学年には自分より強いものはいないと自負していたらしいが、やはり年上にはかなわなかったみたいだ。
まあ、喧嘩したおかげと言っては何だが、
俺は前世の記憶を取り戻すことに成功したのだ。
「よりにもよってヤンチャな奴に転生してしまったな……」
年上に喧嘩を挑まれる中学生って何?
思い出した感じ、高校2年生だった。いや、勝てるわけ無いだろ。何挑んでるんだ俺は?
冷静に自分にツッコミながら周囲を見渡した。
ここは、保健室らしい。
一応、先生からはこっぴどく叱られたりしたが舌打ちしながら、やり過ごした。
……何も考えないとこの体に馴染んだ行動をしてしまうことに今更気づいた。
そして、数日過ぎて中学に登校しようかと決めたとき、足は自然と教室ではなく保健室に行ってしまった。
そういえば、記憶の鱗片に、不登校だった時があるのを覚えている。
「……そっか、俺はほとんど登校していなかったのか。」
俺は前世と違い、獰猛で孤立している存在に成り代わってしまったようだ。
物語で言うところの悪役的な感じ。
意識的に行動すると、そこまで問題を起こさないが、無意識に事を済ますと、
地雷を蒔いてしまう性格らしい。
本当に生きていくうえで大丈夫なのか?俺。
因みに、転生してからまだ四日ほどしかたっておらず、
前世の記憶が回復したのはいいものの、逆に今世の記憶の大概を忘れてしまったのだ。
つまり、どういうことか?
現状も把握できない世界に突如、飛び出して、この癖有の性格と一生を向き合わなくてはいけないのだ。
「人生ハードモードとはこの事か。まあ、思い出せなくもないが……」
一応、脳内には今世の記憶は保存されていた。
俺がその記憶を引き出す方法を知らないだけで、
例えば親を見ると、家族の環境を思い出す……とかなどだ。
――――まあ、家庭環境は一旦放置させておいてくれ。
深く考えるとマジで吐き気がする。
一言いうならば「ここまで俺の性格が捻くれたのも納得できる」といったところか。
「とりあえず、俺の人間関係を把握するところから始めないとな」
とにかく、周囲の状況把握は大事。
……これと言って友達はいない可能性は高いけど(´;ω;`)
だって、こんなチンピラみたいな奴に友達いないでしょ。
もう中三の受験期にもなって喧嘩とはどういう事よ?
絶対に内定に響いている気がする。
まあ、素行以外にも色々あって進学できない可能性もあるけどさ。
嫌な想像を振り払うかのように俺は保健室の枕に顔を埋めた。
そして、消毒の匂いに顔を顰めた。
「また記憶が蘇ってきた。保健室にどんだけ思い入れがあったんだよ伊久磨は…」
消毒の特有の匂いに次から次へと記憶が流れる。
授業を途中で抜け出して、ここでゲームをしていた思い出。
保健室に忘れ物をしたため、夜間のしまっている時間に、窓を割って侵入した記憶。
何度も先生に、保健室登校から普通の学校生活にもどすように言われたりもした。
「あー。まじで俺は害悪な事しかしてねえな。もう、先生に顔見せられねえわ」
そこらの少年院とか精神科の病院に搬送されていない事が謎に思ってきた。
……その拍子に最後の記憶が流れ込んでくる。
「……あ?」
予想外の記憶に唖然となる。
その記憶は、誰かを保健室のベッドに押し倒している思い出。
俺は誰かの上に跨っており、息を荒くして……そして……
「待て待て。どういうことだ?俺が宿る前に伊久磨は何をしていたんだ?」
思考を巡らせようとしながらも、落ち着きを隠すことが出来ないせいで、
全く脳内で整理がつかなかった。
ただ枕に顔を突っ込んだだけの行動が、伊久磨の過去のあらゆる情報をまるで断片的に描写する映画の様に流れ込む結果となったのだ。
まるで、自分事に思えなくなってきた。
「えーと、俺の名前は須藤伊久磨。山中学校の生徒。仲いい友達は……今の記憶上いない。彼女もいた覚えはない。じゃああの記憶にいた人は誰なんだ?」
次の瞬間、保健室のドアが開いた。
豪はその時、ちょうど、記憶の渦に混乱するかのようにずくまっていた姿だった。
「伊久磨……君なの?登校するなんて……珍しいわね」
自信を感じさせるような透き通るような声、それと裏腹に緊張の混じっている気配すら感じた。
保健室の先生か?
いや、それにしては若すぎるような気がする……。
豪は勢いよく、声の方向に顔を向けた。
「私は
目の前には一人の女子生徒がいた。
黒髪のロングヘア、
それを頭の後ろで束ねていた。
目は綺麗な青色をしており、まるでサファイアを思わせるような瞳だ。
身体付きはスラッとしており、無駄な贅肉が一切ついていないことが制服越しでも分かる。
そして、自身を美紅と名乗った女子生徒。
ここで、また伊久磨の中で新たな記憶が掘り起こされることになる。
もちろん、神崎について。
何が原因わからないが、記憶を掘り起こす過程で悪寒が俺を襲った。
そして、これまで以上に衝撃に残った記憶がそこにはあった。
そこには、美紅が絶望した顔で立ちすくんでいる光景。
そして泣きながら何かを懇願している様子。
そして俺は何かをまくしたてながら、美紅を問い詰めている光景。
……そして最後に、
保健室のベッドの上で、美紅の上に俺が乗っかっていた光景。
ここまで記憶が掘り起こされた時に、やっと俺は気付いた。
いや、俺は鈍感すぎた。
今世の俺は数々の悪事を働いてきた、でもそれは中学生の悪戯でおさまる程度のものだと信じてきた。
……いや、そうと思うしか無かった。
そうしないと、心は罪悪感で押しつぶされてしまうだろう。
「え?伊久磨君…@:~*$%!”&%’?」
神崎が何かを言っている。
俺は【最低な悪役】だったのかもしれない。
人の気持ちを無碍にして、挙句の果てに罪のない人まで傷つけてしまう。
ただ一つ、記憶の断片によって分かっていることは『神崎を無理やり犯したこと』
この体に馴染んでしまったせいか、すべての行動が罪悪感として、直接に脳を破壊しようとしていた。
そして、最後に豪は、
「一生俺に関わるんじゃねえぞ……」
そう言いながら俺は保健室を出て行った。
何が正解か分からないまま、事は進む。
~~~~~~~あとがき
登校しない主人公と投稿しない作者。
似た者同士では?
誤字訂正待ってます。主人公の名前は須藤 伊久磨です。
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