第47話 百鬼夜行現象

「事情聴取は後だ!間も無くぬらりひょん様の百鬼夜行現象が始まる!!邪魔をせん様庁舎に入って居れ!」


「ぬらりひょん様じゃと?海坊主うみぼうず偉くなったものじゃ!妖怪魔王様、ひやかして遣りますか?」

「ぬらりひょんごときが総大将の百鬼夜行とは、どれ程の妖怪を集めたか気になるな、よし!見学致そう」


「キサマ!本官の言って居る事、理解出来ぬほど子供か!!監獄に押し込んででも言う事を聞かせる!」

「人間!意気がるで無い、我らわ一人で近辺を焼け野原にかえれるぞよ、妖怪魔王様にイノマ大女王様に至っては、一瞬で国を滅ぼす事が、お出来になるぞよ!!」


「キサマがつべこべ抜かすから、ぬらりひょん様の百鬼夜行がお出でだ!!」



 ぬらりひょんを先頭に百鬼夜行が近付いて来た。

 踊る様な動きで、ふらふら歩いて来る、目の前まで来た百鬼夜行は全員此方をギロリと睨み、一斉に土下座した。


《妖怪魔王様?玉藻御前様?》

「姿を変えて居るが、分かるか?」

《お二人もで有りますじゃが、一行全員凄まじい気を放出されて、妖怪ならば誰でも気付きますじゃ!それにそちらのお方、一行の気を纏めた以上の気を放出されてお出でじゃ》


「此方は我ら全ての主、イノマ大女王様で有る!ぬらりひょん事情を話すが良い!詰まらん事遣って居るならば吹き消してやる!!」




「総大将様!待って下され!儂は日本ひのもと、1300年前突如異界に渡られた総大将様の後、日本ひのもとを外敵から守り通して居りますじゃ!」


「おい!人間のケンペイとやら、ぬらりひょんの言って居る事は真実まことか?」


 ぬらりひょんに対し土下座していたケンペイが、エモンの問い掛けに顔を上げて此方を見た。

 ぬらりひょんと百鬼夜行全員が、私達に対し土下座した光景を見て訳が分からなくなった様で、開きかけた口を閉じて震えだした。


「ケンペイとやら、返答せぬか!!」



 官庁の玄関が開き、おずおずと数人の男達がやって来た。

「ぬ、ぬらりひょん様!この憲兵がご無礼・・・」

 言い掛けた男は、ぬらりひょん達妖怪が全員土下座している事に気付き、私達と土下座妖怪を何度も見直し、一番無害そうに見えたのか私に言って来た。


「妖怪総大将様を平伏させて居られる、ご一行はどちら様でしょう?」

 私が答えようとすると、エモンが言い放った。


「我は1300年振りに異界より帰還せし、妖怪総大将の山本五郎左衛門さんもとごろうざえもん成り!此方におわすは、我が主イノマ大女王様なるぞ!!頭が高い!控え居ろう!!」


「控えるのは兎も角、エモンが今ぬらりひょんを問い質して居る、真実妖怪は日本を外敵から守って居るのか?」


「は?はい!我が『妖怪王国日本ひのもと』は妖怪様と人が一丸となり、元寇げんこうの時より日清日露、外敵を撃ち破り平和な王国に成って久しいで有ります!」

「そうか、ぬらりひょん達は役に立って居るか」



 突然東の空より飛来した、鬼が二体エモンに平伏した。

「総大将、山本五郎左衛門さんもとごろうざえもん様1300年お待ち申して居りました!」

「酒呑茨城息災か?」

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