第11話 (戦争と老人Ⅶ)
そうして私達はあいさつを交わし…
「ではまた。」
「それじゃあまたお話、聞かせて下さい。」
「ハハ。また年寄りの独り言を聞いてもらうか笑」
「ハイ。是非(笑顔)」
そう言って別れた。
その後も私は散歩した時には、そのベンチに座ったが、
その老人には二度と会えなかった…
あれから何年経つのだろう…
私は結婚をし、別の街で暮らしている。
そして
久々に時間が出来、一人散歩を楽しんでいた。
その時見つけたんだ…
あの時のベンチと風景が重なった…
いや、似ていただけか…
私はベンチに座った
やさしいお日さまと頬を撫でる穏やかな風…
あの老人の物語を最後まで聴きたかった…
老人の笑顔に隠された…苦しみと痛み…
真実の心…
あの老人の真実の心に少しだけ触れた時…
私も確かに居たんだ
時の
あの老人はまだ子どもだった…隣にはお母さんと兄弟達…
その物語の続きは…分からない…
どんな少年期を過ごし、青年期を過ごし…老人となったのか…
それでも…そよぐ緩やかな風に身を任せ…
目を閉じる…
「あの後、色んな事が沢山あったが…こうやって今…ここに居る…俺の独り言を聞いてくれてありがとう…またな笑」
あの老人の声が聞こえたような気がした
私は空を見上げ…
「貴重な話をありがとうございました。また独り言聞かせて下さい。じゃあまた笑」
そう心で話していた…
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