第14話 炎纏・爆爪輪

第14話


『ちくしょう、巫山戯るなよ!!』

「『巫山戯てなんかねぇよ、現実を受けとめろ鈍間入道!!』」


おお、簡単に奴の攻撃を避けられる!

おお、簡単に奴へ効く攻撃が出来る!


流石だな、片車輪!!

流石だな、咎人!!


さぁ、このまま燃えて行こうぜ!!

さぁ、このまま燃えて行こうぜ!!


「『確か、炎陣八つ裂き大車輪だったか?』」

『なっ、まさか!?』

「『お返しだ、鈍間入道!!』」


片車輪でも、お前と似た様な事は出来るだろう?

お前と原典が共通している俺なら、お前と同じ技を使えるのは道理だろう?


『舐めるな、炎陣八つ裂き大車輪!!』

「『押し合いで来たか!!だが………』」


今の俺達の火力は、お互いの力を合わせた物だぜ?

今の俺達の火力は、お互いの力を合わせた物だぜ?


『なっ、俺の技が簡単に………』


お前の技なんざ、簡単に破れるさ。

お前の技なんか、簡単に破れるぜ。


「『おいおい、油断だらけだぞ!!』」

『しまった─────』


おお、片車輪みたいに吹き飛んだな………

よし、やっと吹き飛ばせたな!!


「『さぁ、トドメと行こうか!!』」


────技名、どうする?

────輪入道と同じで良いんじゃね?


でも、個人的な物が欲しくない?

それはそうだな………


どうする?

どうしようか………


『隙を見せたな、炎陣八つ裂き大車輪!!』


あっ、ヤベっ!!

あっ、ヤベっ!!


「『痛たたた、熱くないけど少し斬れちまったじゃねぇか………』」

『油断大敵だそ、2人共………』


言われてるぞ、片車輪。

言われてるぞ、咎人。


ああ!?

ああ!?


『聞こえんかったか?我は2人共と言ったのじゃぞ?』


すみませんでした………

すみませんでした………


まぁ、当たったら普通に痛い事と、炎自体は無効化できる事を知れたし、良しとするか!!

まぁ、今は気分が良いし、心地よく戦えているから、良しとするか!!


『また隙だらけだぞ、咎人!喰らえ、炎陣全壊大車輪!!』


まぁ、そう来るよな………

まぁ、そう来るよな………


「『だが、残念だな鈍間入道!その炎ごと俺達の炎が打ち消してやるぜ!!』」


爪に変化した藍月に力を込めろ………

爪に変化したこの妖刀に力を込めろ………


そして、全力で奴の炎を斬り裂け!!

そして、全力で奴の炎を斬り裂け!!


「『炎纏えんまとい爆爪輪ばくそうりん!!』」


☆☆☆☆☆


輪入道side


我の炎が斬り裂かれた!?


目の前では驚愕の光景が広がっていた………


まるで、モヤを払うかの様な感覚で、我の技が斬り裂かれていた。


『巫山戯るな!!簡単に破られてたまるか!!!』


我は死力を尽くして、炎を放出していく。


どうだ、炎の波に流されろ!!


これなら、斬り裂く事など………


事など…………


『────は?』


そんな我の思惑を嘲笑うかの様に、奴は我の炎を抜けてきた。


どうやって………


いや、奴は抜け出す時に少し回転していた。


つまり、たったそれだけで俺の炎を?


「『いやぁ、俺が片車輪で良かった!そうじゃなきゃ、流されてたかもな!!』」


そうだ、奴は何故か片車輪の力を使っている。


そして、我は輪入道だ。


回転する器物から生まれた怪異だ。


なのに、その回転から生まれる力を忘れていた。


成る程────


『敵わぬ訳だ………』


奴の爪が我に届き、我の炎が辿った末路の様に斬り裂かれていく。


負けた、完敗だ………


鈍間で弱い咎人と片車輪に負けてしまったのだ………


だが、何だろうな、この気持ちは?


『楽しかったぞ、咎人………』


────だが、すまないな女怪よ。


我の役目は果たせなかった様だ………


「『俺も愉しかったぜ、輪入道。』」


何、それは本当か?


それなら良かった………


何故そう思うのか理解わからないまま、俺の魂は消滅していった。


☆☆☆☆☆


「う〜ん、見てたよ輪入道。』


安心して死んで逝くと良いよ。


君はちゃんと役目を果たせたさ………


『金剛石にするのは止めとこうか。」


満足できる物が見れたからね、残念だけと中止としよう。


正直、金剛石にされる輪入道とか見てみたかったけど………


「しかし、片車輪の力を使うとは………』


藍様の妖着を使ったのかな?


つまり、あの少年は片車輪と相性が良いという事だ。


ふむ、藍様関連抜きでも欲しくなってくる逸材だな………


『しかし、最初に手に入れるのがスピード特化形態とは。普通ならパワー特化形態でしょう?」


仕方ない、次はパワフルな奴を用意してあげようかな?


「あっ、そう言えば輪入道の次に向かわせると決めてた奴を忘れてた!!』


もう止めれないよね………


仕方ないか、後でねじ込むとしよう。


『確か次は誰だったかな?」


え〜と、確か火の次は水って感じで決めてた筈………


あっ、思い出した!!


「ひょうすべ君、ひょうすべ君だったね!!』


あの変な顔をした猿みたいな怪異の子だったね。


う〜ん、我ながら良い采配じゃないか?


私、最高!!私、超最高!!


『じゃあ、頑張ってね、ひょうすべ君。」


────愉しい戦いをしてくれる事を、心の底から期待しているよ。


続く

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