その映画、知ってます。
NOMA
第1話 うそだと言ってよ、イッペイ!
マジか、ここにあったのか。
近所のTSUTAYAやGEOにもなかったのに。。
今までこのレンタルビデオ店には入ったことがなかった。
レンタルビデオ? いまなんて言うのかね? レンタルDVD??
DVDデッキを持っている家も少なくなっている昨今、
若い人は認知しているのだろうか? DVD自体を。
一瞬、アダルトDVD専用店のようにも見えるがそうと言えないこだわりの店の看板やのぼり。地元のこだわりのリストランテのような構えに躊躇はしていたが、思い切って入ってみた。
異世界ではない。
レンタルビデオというより喫茶店のような店内。
常連のような人がマスターのような店長の周りでそれぞれ大声で話している。
その様子を私は並んでいるDVDの隙間からなんとなく覗いていた。
確かに今やレンタルビデオやCDはかなり厳しい状態で、小学生の時からレンタルビデオ店にお世話になっている私としては頑張ってほしいとは思う反面、世の趨勢にはどうにもならないとも言える。
今や怒涛のサブスクが映画や音楽、書籍に流れて混んできている。
これに抗えるのか、、、だから、トレーディングカードを扱ったり、漫画を貸したり、四駆を扱ってなんとか子供を集めようとしているフランチャイズのレンタル店の努力。GEOは古着と携帯事業で先に、、、
それはいいとして、店内のモニター画面にはテレビが流れていた。
ドジャースとヤンキースのワールドシリーズ。
そこで、おじさん達が、大谷が、、、山本が、、、ジャッジが、、、と話していた中に「エイトメンアウト」という単語が耳に入ってきた。
「エイトメンアウト」ーー (引用:Wikipedia)
そう、1919年のワールドシリーズでホワイトソックスの選手たちが起こした八百長事件の映画。
シカゴ・ホワイトソックスのオーナーはチームに対して緊縮した財政をとることで知られていた。そのことは当然、選手の間でも不満の種であり地域での優勝のシャンパンは空けてもあふれ出ないような気の抜けた物が届けられいた。洗濯すらまともにされずホワイトソックスならぬブラックソックスと揶揄されていたプレイヤーの間でくすぶっていた鬱積は給与に結び付き許されるはずのない八百長…ギャンブルとそれに関わる裏社会と繋がっていった。裏社会からの脅しによってもはや勝つことは許されずホワイトソックスはワールドシリーズを敗北するが、それが不可解なものとして大々的に扱われることになる。裁判とコミッショナー制度。アメリカ野球界を揺さぶったブラックソックススキャンダルは終身という保障の上のコミッショナーという強大な権限を生み出し、そのコミッショナーによる永久追放という言葉、それによって野球から消えることを余儀なくされた八人の選手を残して終わった。エイトメンアウト。
後年、独立リーグのフィールドに立つ優秀な選手を、哀愁と憧憬の目で見る観客がいた。
「うそだと言ってよ、ジョー!」
Say it ain’t so,Joe! (「八百長なんて」してないと言ってよ、ジョー!)
1919年のアメリカ大リーグ・ワールドシリーズで八百長の罪に問われ、無罪評決を得たものの、球界から永久追放処分を受けたシカゴ・ホワイトソックスの人気選手ジョー・ジャクソンに対し、幼いファンが叫んだ悲痛な言葉とされる。
いや、「シェーン、カムバック!」の方が泣ける?
(アメリカ映画「シェーン」のラストシーンで、少年ジョーイが去りゆくシェーンに叫ぶセリフ)
いやいや、工藤栄一監督の「十三人の刺客」の「おとーさーん」の方が泣ける。
あれ「大殺陣」だっけか、、
閑話休題。
そして、私の好きな「フィールド・オブ・ドリームス」はこの「エイトマンアウト」された人達を今の時代に呼ぶ映画だった。
「フィールド・オブ・ドリームス」ーー (引用:Wikipedia)
そう、アイオワ州で農場を営む都会育ちの主人公は、ある日の夕方、トウモロコシ畑で謎の声を聞く。「それを作れば、彼がやって来る」。そしてトウモロコシ畑に野球場の幻を見る。冒険をせず堅実に生きてきたレイは、妻アニーの声にも押されて野球場建設を決意する。順調とは言えない経営状態ながら、トウモロコシ畑の一部を潰して野球場を作るレイ。周囲の人間は彼をおかしくなったのかと笑い物にするが、レイ一家は意に介さない。レイの父親ジョンはかつてメジャーリーグを目指したが、叶うことはなかった。その夢を息子に託そうとしたが、反発したレイは十代で家を飛び出し、父の葬式まで再び会うことはなかった。父に妻や孫娘の顔を見せられなかったことは、レイの心の傷となっていた。レイの幼い娘カリンは夕闇の中、野球場に人影を見つけた。それは1919年に無実の罪(ブラックソックス事件)で球界を永久追放され、失意のうちに生涯を終えたはずの“シューレス”・ジョー・ジャクソンだった。彼とチームメイトたちは野球場で数十年ぶりの野球を楽しむが、その姿はレイ一家にしか見ることができない。第二の謎の声「彼の痛みを癒せ」を聞き、考察するレイ。彼とは誰か?若い頃、自分が父に反発したのは、作家テレンス・マンの影響だった。フェンウェイ・パーク球場で彼とともに野球を観戦する夢をアニーと同時に見たレイは、テレンスを訪ねて一路ボストンへと向かう。今は世を倦み隠遁生活を送るテレンスもまた、かつて野球選手になる夢を持っていた。訪ねてきたレイには「憧れなど無い」と頑なに言い張るが、レイは彼を連れ出す。フェンウェイ・パーク球場で第三のメッセージ「アーチー・“ムーンライト”・グラハム」をテレンスとともに受け取ったレイは、テレンスを車に乗せ、アーチーの住むミネソタ州に向かう。アーチー・グラハムは生涯で1イニングだけメジャーの試合に出場し、打席に立つ機会を得ることなく引退した過去の野球選手だった。その後町医者となって地元に貢献し、すでに亡くなっていた。ひとり夜の町に出たレイは過去の世界に迷い込み、老グラハム医師に遭遇する。レイは彼と話をするが、彼は町を離れることを拒む。諦めて農場に戻ることにするレイとテレンス。途中でヒッチハイクの若者を拾うと、それは球団を求めて旅をする若き野球選手アーチー・グラハムだった。農場の野球場では、今は亡き名選手たちが次々と背後のトウモロコシ畑から姿を現し、試合を行っている。アーチーもそれに加わり、念願のバッターボックスに立つ。しかし一方、農場は金銭的苦境に陥り、売却か差し押さえかの選択を迫られていた。「売る必要はないわ」と無邪気に語る娘のカリン。往年の名選手たちを見るために、大勢の観客がやって来る。入場料を取れば農場は救われると言うのだ。テレンスもそれに賛同し、レイは売却を拒否する。試合が終わり選手が去ったあとひとり残った選手がキャッチャーマスクを脱ぐと、それはレイの父親ジョンだった。独身時代の若々しい姿のジョンに、レイは妻と娘を紹介する。レイとジョンは親子のキャッチボールを楽しむ。陽が暮れて煌々と明かりが灯る畑の中の野球場に、観客たちを乗せた無数の車のヘッドライトが光の帯を作り、近づいて来る。
あらすじを読んだだけでは映画として成立するのだろうかという野球ファンタジーだが、あとからジワリとくる名作だった。
野球賭博はしていないと言った一平。
私は、トウモロコシ畑から出てくる一平を想起する。
ずっと翔平と一緒に頑張ってきたやん。
オールスターゲームでもキャッチャーやらせされたやん。
翔平から一平さんのおかげだと言われてたやん。
ホームランの兜を代わりにかぶされてたやん。
エンゼルスの一員だっただろ。。
「それを作れば、彼がやって来る」
野球界から永久追放された一平はどんな顔をしてトウモロコシ畑から出てくるのか、そもそもトウモロコシ畑から出てくることを誰かが許してくれるのか、許しがあれば「彼がやって来る」のか。
我に返り、手にしていた「スローターハウス5」
なんでこれ借りたいのだっけ?と思いながらカウンターへ。
風貌から店長ぽい人「ありがとうございました。渋いの、借りますね。」
私「あっ、その、、いやいや、、」
アタマが妄想でヒートアップしていたので、変な顔で変な答え方をしてしまったなと思いつつ、、肌寒くなってきたなか、家路を急いだ。
END
その映画、知ってます。 NOMA @nomanomanoma
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