華子と太郎と山田
あんころもっちん
第1話 クリスマスローズ
白い花で、クリスマスローズは、12月から4月に、咲いている。
花言葉は、私の言葉を慰めて、追憶。
形は小さく丸っこくて、可愛らしい。
じっと、あるコンビ二で、2人の男女が、
神妙な顔をしていた。
中学2年生の少女は、山田
中学2年生の少年は、山田 太郎。
2人が、口を開いた。
「クリスマスローズって、学名は、ギリシャ語のヘロインで、意味は、死に至らしめるだよね」
先に喋ったのは、華子だ。
「物騒ではあるけれど、ギリシャでは、狂人を正気に戻したり、憂鬱も払うらしいよ」
神妙な顔をしたのは、太朗だ。
「じゃあ、今回のケースだと、救いの意味かな?
「うーん。恋人の
時を
あれは、12月の初旬。
たまたま現場に居合わせた、太朗と華子が、
クリスマスローズの花が、大好きな遥に、
圭吾が花を贈り、クッキーも添えたが、そこに、問題があった。
根の部分が、すり込まれていたのだ。
なぜ気付いたか?
最近、2人の間ですれ違いが
原因は、遥さんにある。親の介護で疲れ、ストレスから、圭吾に、辛く当たったのだ。
圭吾は圭吾で、仕事が上手くいかず、苛ついていた。ほんと些細な事だ。
でも人は、一瞬で、恋人でも殺す。
てな感じで、公園で2人を止めたのが、太朗と華子だ。
「……でも、クリスマスローズに、罪は無いよな。元々、クリスマスローズに惹かれて、この花がきっかけで、遥さんと圭吾さんは、知り合ったんだから」
「
「結果的に、食い止められて、良かったよな。時間が経てば、2人も落ち着いたし」
「クッキーをさっと取って、事故に見せ掛けて、地面にたたき付けたもんね。証拠隠滅よ。……意味には気付いたかもだけど」
「いや、量は知れてたよ。毒は少量なら、刺激物になるらしいしね。完全に殺すつもりは、圭吾さんには、無かったのさ」
「そっか。かっとなって、突発的に、行動を起こしたんだね。圭吾さんの辛さも、知って貰う為に」
「そう言うこと」
時が過ぎれば、互いを傷付けた事を、絶対に、後悔する。
だから、太朗と華子、華子と太郎は、断固阻止した。
夕方5時過ぎ。
12月のクリスマス前。
ちらほら雪が降ってきた。
コンビニ前のベンチに、腰掛けた2人が、クリスマスローズの鉢を、じっと見ている。
「まぁ、花壇部としては、見過ごせ無かったのよ。花は悪くないもの」
部で育てているクリスマスローズが、蕾を、咲かせている。
「雪ばかりの野原に、天使が舞い降りて、白い花を探してくれた。……クリスマスローズだったんだってさ。なんか良いよな」
コンビニから、クリスマスソングが、流れている。
短髪狐色に、黒目、学ランの太郎が、缶のホット
黒髪長髪、黒目、白い肌の華子は、セーラー服だ。
軽くお礼を言うと、太郎に、手編みの手袋を渡した。
「「全ての花に罪はなし! 一件落着」」
「「花は人生を豊かにハッピーをもたらしてくれる、素敵な贈り物だ」」
太郎と華子が、互いに見合って、どちらともなく、笑みを
追伸。
月嶋 遥、真鍋 圭吾は、無事に、仲直りして、思い出の公園で、クリスマスを過ごすとのこと。
ちなみに、圭吾は、遥に、クリスマスローズの形をした、イヤリングを贈ったらしい。
圭吾は、遥から、白いマフラーを貰った。それには、クリスマスローズの
クリスマスローズの花言葉は、私の心を慰めて、追憶。2人にぴったりだ。
やっぱり、花は、幸せを運んでくれる。
……ほとんどの確率で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます